The Stone Roses - The Stone Roses (1989)
The Stone Roses 1989

The Stone Roses - The Stone Roses (1989)

Rock Indie Rock

The Stone Roses / The Stone Roses (1989)

The Stone Rosesのデビュー・アルバム『The Stone Roses』は、1989年にUKのSilvertone Recordsから出た作品で、同年の英ロック/インディ・ロックを語るうえで外せない一枚だ。マンチェスター出身のバンドが、ギター・ロックの骨格にダンス・ミュージック由来のリズム感を持ち込み、当時のUKシーンの中で独自の立ち位置を作ったアルバムとして知られている。Ian Brownの歌、John Squireのギター、Gary Mounfieldのベース、ReniことAlan Wrenのドラムが噛み合うことで、曲ごとの輪郭がはっきりしたまま前に進む構成になっている。

この1989年UK盤は、初回プレスらしい仕様がはっきりしているのも特徴だ。エンボス加工のゴールド文字、赤と黒のラベル、そして内袋には片面にバンド写真、もう片面にJohn Squireの作品「Waterfall, Detail. 1988 Oil on Canvas」が収められている。SNA工場でプレスされた初期盤は、ランアウトに「ORE LP 502 A2」「ORE LP 502 B2」と刻まれ、後年の同年プレスとは判別できる。EEC製造表記もあり、当時のUK盤らしい具体的なディテールが残る。

バンドにとっての位置づけ

このアルバムは、The Stone Rosesにとって最初の長編作品であり、のちにグループの評価を決定づける中心作になった。1983年にマンチェスターで結成され、90年代に入る前からシングルで注目を集めていたバンドが、その時点で持っていた要素を一気にまとめた内容といえる。後年にはデラックス盤やリマスター盤も出るが、オリジナルの1989年盤は、バンドの出発点としての意味が強い。

同時代のUKロックと比べると、ギターを前面に出しながらも、リズムの取り回しが軽く、単純なハードロック寄りには寄らない。マンチェスター周辺のバンド群、たとえば同じ都市圏から出た別の世代のバンドと並べて語られることは多いが、この作品ではメロディとビートの接点がかなり明確だ。曲の設計がきっちりしていて、演奏の隙間に余裕がある。そういう作りが、後のブリットポップ以前の空気にもつながっていく。

注目曲「I Wanna Be Adored」

冒頭を飾るこの曲は、アルバム全体の顔になっている。ベースの反復から始まり、歌がすぐに強く主張するのではなく、少し距離を置いたまま進む構成だ。The Stone Rosesの1枚目を聴くとき、この曲でまず感じるのは、音の置き方がかなり整理されていること。ギターは派手に鳴り続けるわけではなく、フレーズの切れ目がはっきりしていて、そこにボーカルが乗る。

タイトルどおりの自己主張はあるが、実際の演奏はむしろ抑制が効いている。そのため、勢いで押すタイプのロック曲とは違い、曲が進むほどに空気が固まっていくように聞こえる。アルバムの導入として、バンドの輪郭を端的に示す役割を持つ曲だ。

注目曲「She Bangs the Drums」

アルバム中でも特にわかりやすい推進力を持つ曲で、シングル曲としての機能がはっきりしている。ギターのリフが前へ出て、リズム隊がそれを支える形。歌のメロディも追いやすく、The Stone Rosesの中では比較的すぐに輪郭をつかめる部類に入る。バンドの中では、ストレートなロックの手触りと、当時のUKインディーらしい軽やかさが両立している。

この曲があることで、アルバム全体が内省一辺倒にならず、明確なフックを持った作品として成立している。音数は多すぎないのに、サビでしっかり空間が開く感覚があり、ライブでの再現も想像しやすい。代表曲として扱われるのも自然な流れだろう。

注目曲「Waterfall」「Made of Stone」

「Waterfall」は、アルバムの中でもメロディとギターの流れがきれいにまとまった曲だ。内袋のアート作品名にも使われていることからも、作品全体の中で印象の強い一曲として扱われているのがわかる。リズムが大きく暴れず、一定の流れを保ちながら進むため、歌と演奏の細部が見えやすい。

「Made of Stone」は、アルバムの中でロック・バンドらしい骨格が最もわかりやすく出る曲のひとつだ。派手な展開で押すより、リフと歌の組み合わせで持っていくタイプで、The Stone Rosesの魅力である“硬さと滑らかさの同居”が出ている。初期の代表作として語られるのも納得できる配置だ。

収録曲と再発盤の違い

この1989年UKオリジナル盤は、アルバム本編をそのまま収めた初期仕様で、後年の再発ではデラックス盤やデジタル・リマスター盤が登場している。オリジナルのUK盤は、当時のラベルやインナーの仕様、プレス工場の違いまで含めてコレクション性が高い。のちの再発では音源面の拡張や仕様変更が加わるが、この初回盤はまず1989年当時の姿をそのまま伝えるものとして価値がある。

なお、このアルバムは米国・カナダ盤では別の曲が加えられた例もあるが、UKオリジナル盤はその地域のリリースとして、作品本来の構成を確認しやすい。The Stone Rosesというバンドが、デビュー作の時点でどの地点にいたのかを見たいとき、まず手に取りたくなるのはやはりこの1989年UK盤だ。

まとめ

『The Stone Roses』は、デビュー作でありながら完成度の高い曲が並び、バンドの個性がかなり明確に出ているアルバムだ。マンチェスターのバンドとしての背景、インディー・ロックの文脈、そして後の再評価まで含めて、1989年という年を象徴する作品のひとつとして扱われてきた。初回UK盤の細かな仕様も、このアルバムの歴史をそのまま残している。

トラックリスト

  1. A1 I Wanna Be Adored
  2. A2 She Bangs The Drums
  3. A3 Waterfall
  4. A4 Don't Stop
  5. A5 Bye Bye Badman
  6. B1 Elizabeth My Dear
  7. B2 (Song For My) Sugar Spun Sister
  8. B3 Made Of Stone
  9. B4 Shoot You Down
  10. B5 This Is The One
  11. B6 I Am The Resurrection
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