The Strokes - Angles (2011)
The Strokes『Angles』(2011) レコードレビュー
The Strokesの4作目となるアルバム『Angles』は、2011年にRCAからリリースされた作品である。ニューヨーク・シティ出身の5人組が、2000年代初頭のガレージロック・リバイバルの中心にいたことはよく知られているが、この作品ではデビュー当時の直線的な勢いだけでなく、曲ごとの構成や音の置き方により意識が向いている印象がある。2001年の『Is This It』で一気に注目を集めたバンドが、その後の歩みの中でどの地点にいたのかを確認するうえでも、重要な一枚といえる。
オリジナルは2011年リリース。今回のUS盤も同年の発売で、厚手のゲートフォールド仕様、白い紙のインナー、ダイカットとポリライナー付きという作りになっている。シュリンクには大きな黄色のハイプステッカーが貼られており、当時の新作としての扱いがはっきりしている。ランアウトは「Sterling」のみスタンプで、それ以外はエッチング。マスタリング面でも、アナログ盤としての存在感を意識した仕上がりだろう。
アルバム全体の位置づけ
『Angles』は、The Strokesの初期2作にあったバンド一体の推進力とは少し違い、各メンバーの役割がより分かれて聴こえる作品である。ギターのリフで押し切る場面もあるが、シンセやリズムの立て方が前面に出る曲もあり、曲ごとの色分けがはっきりしている。2000年代末から2010年代初頭のロック作品に見られた、バンドサウンドの再編成という流れの中に置くと理解しやすい。
同時代のニューヨーク周辺のバンドと比べても、The Strokesは常に「軽さ」と「反復」のバランスで聴かれてきたが、この盤でもその感覚は残っている。たとえばギター主体のロックでありながら、歌のメロディが先に立つ瞬間が多く、Julian Casablancasのボーカルの置き方が曲の印象をかなり左右している。バンドの持ち味が、演奏の勢いだけではなくアレンジの切り替えに移っていった時期の記録としても見られる。
「Under Cover of Darkness」について
本作の代表曲としてまず挙げられるのが「Under Cover of Darkness」だろう。冒頭からコード感の明るさがあり、The Strokesらしいギターの抜けのよさが前に出る。リフの運びはシンプルだが、ドラムとベースの推進力がしっかりしていて、サビでの跳ね方に勢いがある。初期作の感触を求める耳には、まずこの曲が入口になりやすい。
この曲は、アルバム全体の中でも比較的わかりやすい構成で、シングルとしての役割がはっきりしている。歌メロの流れが自然で、ギターが細かく差し込まれる場面でも、曲の輪郭が崩れない。『Angles』という作品の中で、バンドが従来の持ち味を保ちながら、新しい整理の仕方を試していることが見えやすい一曲である。
「Taken for a Fool」について
「Taken for a Fool」も、このアルバムを語るうえで外しにくい。こちらはリズムの刻みがやや前に出ていて、ギターのフレーズが歌を押し上げるというより、歌の隙間を埋めるように入ってくる。派手な展開で引っ張る曲ではないが、繰り返し聴くほど細部が気になるタイプで、演奏の噛み合い方に耳が向く。
音の数は多すぎないのに、曲全体の密度は低くない。The Strokesが初期から持っていた、短いフレーズを積み重ねて曲にする感覚が、この曲では少し整理された形で現れている。アルバム後半の流れの中でも印象に残りやすく、2010年代のThe Strokesがどのように鳴っていたかを示す例としてもわかりやすい。
サウンドと聴きどころ
『Angles』を通して聴くと、ギターの鋭さだけでなく、音の配置そのものに意識が向いていることがわかる。初期作のように一気に走り抜ける場面もある一方で、テンポ感を少しずらしたり、フレーズを重ねたりすることで、曲の輪郭を作っている。結果として、ロックバンドのアルバムでありながら、各曲の表情がかなり違って聴こえる。
Julian Casablancasの歌声も重要だ。抑えたトーンで進む場面と、フックで前に出る場面の差がはっきりしていて、バンドの中でボーカルが曲の重心を決めている。The Strokesの作品群の中では、デビュー作の即効性や『Room on Fire』のまとまりとは別の、少しねじれた感触を持つアルバムとして受け取られてきたはずだ。
レコードとしての佇まい
US盤のこのレコードは、2011年当時の新譜らしいパッケージングが印象に残る。未ラミネートのゲートフォールド、白いインナー、シュリンク上の黄色いステッカーという構成は、資料性のあるアナログ盤としても見やすい。RCAからのリリースで、The Strokesがメジャー・レーベルの枠組みの中で作品を出していた時期の一枚でもある。
『Angles』は、The Strokesのキャリアの中で、初期衝動の再確認だけでは終わらない地点にあるアルバムだ。ヒット曲としては「Under Cover of Darkness」がまず思い浮かぶが、全体としては曲ごとの作り込みとバンドの再配置を味わう盤である。2000年代のロックを引っ張ったバンドが、2011年にどのような形で音を鳴らしていたのか、その答えのひとつとして置いておける作品だろう。
トラックリスト
- A1 Machu Picchu 3:32
- A2 Under Cover Of Darkness 3:57
- A3 Two Kinds Of Happiness 3:44
- A4 You're So Right 2:34
- A5 Taken For A Fool 3:25
- B1 Games 3:53
- B2 Call Me Back 3:03
- B3 Gratisfaction 2:59
- B4 Metabolism 3:05
- B5 Life Is Simple In The Moonlight 4:15
動画
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Machu Picchu
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The Strokes - Under Cover of Darkness (Official Music Video)
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Two Kinds of Happiness
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The Strokes- You're So Right
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The Strokes - Taken for a Fool (Official Music Video)
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Games
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The Strokes - Call Me Back (Official Music Video)
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Gratisfaction
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Metabolism
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Life Is Simple in the Moonlight