The Strokes - Is This It (2001)
The Strokes 2001

The Strokes - Is This It (2001)

Rock Indie Rock

The Strokes『Is This It』レビュー

The Strokesの『Is This It』は、2001年に登場したデビュー・アルバムで、ニューヨーク発のロック・バンドが一気に世界へ名前を広げた作品だ。Julian Casablancasの脱力した歌い回し、Nick ValensiとAlbert Hammond Jr.の乾いたギター、Nikolai Fraitureの直線的なベース、Fabrizio Morettiのタイトなドラムが、短い曲の中でほぼ無駄なく噛み合っている。インディ・ロック、ガレージ・ロック・リバイバルといった文脈で語られることが多いが、実際には2000年代初頭の空気をかなりはっきり形にしたアルバムでもある。

このヨーロッパ盤は2001年リリースのオリジナル期の一枚で、薄いカードジャケットに、白いダイカットの紙インナーを組み合わせた仕様。裏面クレジットには「Made in the EU」とあり、BMG系の流通で出た盤であることも確認できる。US盤と比べると、発売時期や収録内容の扱いに違いがある点が、この作品の重要なポイントになっている。

アルバム全体の輪郭

『Is This It』は、最初から最後まで大きな音で押し切るタイプではない。むしろ、ギターの刻み、ベースの反復、ドラムの間合いで曲を進める作りが中心で、音数の少なさがそのまま輪郭の明瞭さにつながっている。聴き進めるほど、各曲のフレーズが短く、覚えやすく、かつ崩れにくいことがわかる。録音も過度に磨き込まれておらず、スタジオの空気感よりも、バンドが前に立っている感じが残る。

作品としては、The Strokesにとって最初の決定打にあたる。後年のバンドの活動を見ても、このアルバムで提示された「ラフな演奏に見えて、構成はかなり整理されている」という感覚は、彼らの出発点として大きい。2001年当時のロック・シーンでは、のちにThe White StripesやInterpol、Yeah Yeah Yeahsなどと並べて語られることが多く、都市のライブハウス感覚をそのまま持ち込んだような空気の中で受け止められた。

収録曲の中核「Last Nite」

このアルバムを語るうえで、やはり「Last Nite」は外せない。リフの反復がはっきりしていて、最初の数秒で曲の骨格が見える作りだ。Casablancasのボーカルは、感情を大きく振らずに、言葉を少し投げるように置いていく。そのため、メロディよりもリズムの押し引きが印象に残る。サビで一気に広がるというより、同じフレーズを何度も回しながら熱を上げていくタイプで、当時のシングルとしても納得しやすい仕上がりだ。

この曲は、The Strokesの代表曲として長く扱われている。ギター・ポップの軽さと、パンク寄りの推進力が同居していて、2000年代初頭のロックを象徴する一曲として記憶されやすい。派手な展開はないのに、終わったあともフレーズが残る。そういう残り方をする曲だ。

アルバムの核になる「Hard to Explain」

オープニングを飾る「Is This It」から流れ込む「The Modern Age」、さらに「Soma」へと進む流れも強いが、アルバム全体の設計を代表するのは「Hard to Explain」だと思われる。リズムの置き方が少し後ろにずれていて、演奏の隙間がそのまま曲の個性になっている。ギターは派手に鳴り続けるわけではなく、短いフレーズを積み重ねる形で、ボーカルの乾いた響きとぶつからない。

この曲の良さは、勢いだけで終わらないところにある。展開が増えるわけではないのに、同じ部分を繰り返すほど密度が上がって聞こえる。アルバムの中でも、The Strokesが「ラフに見えるけれど、実際にはかなり整ったバンド」であることを示す曲といえる。

『New York City Cops』をめぐる話

このアルバムには、後に有名になるエピソードもある。2001年の9月11日の同時多発テロを受けて、アメリカ盤CDでは「New York City Cops」が差し替えられた。一方で、ここにあるヴァイナル版ではオリジナルの曲順が保たれている。ニューヨークのバンドが、同じ都市名をタイトルに含む曲を持っていたことも含めて、時代の空気と作品が強く結びついている。

曲そのものは、アルバムの中でも少し引っかかりのある存在だ。硬いリズムと、言葉を切り詰めたような歌い方が前面に出ていて、バンドの皮肉な視点がはっきり出る。US盤との違いを知ったうえで聴くと、当時のリリース状況がそのまま作品の受け取られ方に影響していたことが見えてくる。

盤としての特徴

このヨーロッパ盤は、シンプルな白インナーと薄いカードジャケットという仕様で、初期盤らしい簡潔な作りになっている。裏面にはThe Strokes Band Musicの出版表記、2001年のBMG Entertainmentクレジット、RCAの商標表記が並ぶ。レーベルはRCAで、2001年当時のメジャー・リリースとしての位置づけが確認できる。

『Is This It』は、デビュー作でありながら、すでに完成されたバンドの輪郭を示したアルバムとして語られ続けている。曲数は多くないが、代表曲の配置が明確で、アルバム全体の流れもわかりやすい。2000年代初頭のロックを振り返るとき、まず名前が挙がる一枚であることは、今も変わらないはずだ。

トラックリスト

  1. A1 Is This It
  2. A2 The Modern Age
  3. A3 Soma
  4. A4 Barely Legal
  5. A5 Someday
  6. B1 Alone, Together
  7. B2 Last Nite
  8. B3 Hard To Explain
  9. B4 New York City Cops
  10. B5 Trying Your Luck
  11. B6 Take It Or Leave It

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