TRB - Power In The Darkness (1978)
TRB 1978

TRB - Power In The Darkness (1978)

Rock Pop Rock Punk

TRB『Power In The Darkness』(1978)について

TRBことTom Robinson Bandの『Power In The Darkness』は、1978年にUKのEMIから出たデビュー・アルバムである。バンドは1976年にロンドンで結成され、のちに1979年にいったん活動を終えるが、この作品はその短い初期活動を代表する1枚として扱われている。パンクとポップ・ロックの要素を軸にしながら、単なる勢いだけではなく、当時の空気をそのまま押し出すような直截さを持ったアルバムという印象が強い。

TRBはTom Robinsonの名前が前面に出るバンドだが、演奏はバンド全体のまとまりがはっきりしている。メンバーにはDanny Kustow、Mark Ambler、Charlie Morgan、Dolphin Taylor、Ian Parkerらが並び、ギター、ベース、ドラム、鍵盤の役割が明確に分かれた編成である。ロックの基本形を保ちながら、1978年当時のUKパンク周辺の緊張感をしっかり持ち込んだ作品として聴ける。

作品の位置づけ

『Power In The Darkness』は、TRBの初期像をそのまま示すアルバムである。Tom Robinson Bandは、1970年代後半の英国ロックの中でも、社会的な視点を前に出したバンドのひとつとして知られる。この作品でも、個人的な感情だけでなく、時代の空気や街の感触を含んだ曲調が目立つ。パンクの時代に出た作品ではあるが、演奏の組み立ては比較的きちんとしていて、荒さ一辺倒ではないところが特徴的である。

同時代のUKシーンで言えば、Sex PistolsやThe Clashのようなバンドと並べて語られることが多い流れにある。ただし、TRBはよりメロディや合唱性を重視する場面があり、ロック・バンドとしての輪郭が見えやすい。怒りの表明だけで終わらず、曲としてのまとまりを保っている点が、このアルバムの聴きどころになっている。

タイトル曲「Power In The Darkness」

アルバムの核になるのがタイトル曲「Power In The Darkness」である。題名どおり、暗さや圧力をそのまま受け止めるような構えがあり、演奏の立ち上がりから気持ちを前へ押し出す。Tom Robinsonのボーカルは、語りかけるような部分と、声を強く張る部分の切り替えがはっきりしていて、曲のメッセージを前面に置く。

この曲は、アルバム全体の方向を決める役割も持っている。サウンドは派手すぎず、ギターとリズム隊が前に出る設計で、ライブ感のある進行が印象に残る。初めてこのアルバムに触れるなら、まずこの曲でバンドの温度をつかめるはずである。

「2-4-6-8 Motorway」

代表曲として外しにくいのが「2-4-6-8 Motorway」である。こちらはアルバムの中でも特に直線的な推進力を持つ曲で、タイトルの反復だけでも走行感が伝わってくる。リズムの刻みが明快で、ロックンロールの基本的な気持ちよさを前に出した作りになっている。

この曲は、TRBがパンク周辺のバンドでありながら、同時にわかりやすいフックを持つロック・バンドでもあることを示している。叫ぶだけではなく、口ずさみやすさが残るところがポイントで、アルバムの中でも耳に残りやすい一曲である。

「Glad to Be Gay」

「Glad to Be Gay」も、この時代のTRBを語るうえで重要な曲である。タイトルからして当時の社会状況と切り離せない内容で、Tom Robinsonの作家性がよく表れている。単に刺激的な題材を扱うだけでなく、言葉を前に出すことで曲そのものの輪郭を作っている。

演奏面では、メッセージ性の強い歌詞を支えるように、バンドがきっちりと土台を固めている。勢いのあるロックとして成立しながら、内容の強さがそのまま曲の印象につながるタイプである。アルバムの中でも、TRBの社会的な側面を示す代表的な一曲といえる。

音の作りと聴きどころ

本作は、Wessex Studioで録音され、1978年の英国ロックらしい生々しさがある。EMIからのUK盤で、ラベルには「Made in Gt. Britain」とあり、初回には印刷されたカード内袋や、LPサイズのステンシルが付属したという記録が残っている。こうした仕様からも、当時のリリースが作品としての存在感を強く意識していたことがうかがえる。

楽曲全体を見ると、速い曲だけで押し切るのではなく、歌とリズムの間合いを保ちながら進む構成が多い。ギターは鋭さを持ちながらも、音数を詰め込みすぎない。ベースとドラムは前進する感覚を支え、キーボードが場面によって厚みを足す。こうしたバランスが、パンクとポップ・ロックのあいだにあるこのアルバムの立ち位置を支えている。

まとめ

『Power In The Darkness』は、TRBの出発点としてわかりやすい1枚であり、1978年のUKロック/パンクの空気をそのままパッケージしたような作品である。Tom Robinsonの歌詞と歌い方、バンドとしての推進力、そして代表曲の存在が、アルバム全体の印象を形作っている。勢いだけではなく、曲ごとの輪郭が比較的はっきりしている点も、この作品の特徴として残る。

当時の英国シーンを追ううえでも、TRBの初期像を知るうえでも、外せないタイトルである。

トラックリスト

  1. A1 Up Against The Wall
  2. A2 Grey Cortina
  3. A3 Too Good To Be True
  4. A4 Ain't Gonna Take It
  5. A5 Long Hot Summer
  6. B1 The Winter Of '79
  7. B2 Man You Never Saw
  8. B3 Better Decide Which Side You're On
  9. B4 You Gotta Survive
  10. B5 Power In The Darkness

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