Turning Point - Silent Promise (1978)
Turning Point 1978

Turning Point - Silent Promise (1978)

Rock Jazz Jazz-Rock

Turning Point『Silent Promise』(1978) について

Turning Pointの『Silent Promise』は、1978年に日本でリリースされたジャズ・ロック作品である。バンドは1970年代後半のUKジャズ/フュージョン・シーンで活動したグループで、元IsotopeのJeff ClyneとBrian Millerを中心に結成された。Isotope周辺の流れを引き継ぎながら、カンタベリー系の要素もにじませた編成とされており、本作もその文脈の中で捉えやすい1枚である。メンバーはJeff Clyne、Brian Miller、Dave Tidball、Pepi Lemer、Paul Robinson。女性ヴォーカルを含む5人編成という点も、この時代のインスト中心のジャズ・ロック作品の中では目を引く。

レーベルはGull、品番はVIP-6567。Gullは1974年設立の英国レーベルで、Decca流通のもとで活動していた。日本盤として出ている本作は、1978年当時の空気をそのまま封じた初出年のリリースであり、Turning Pointというバンドの輪郭を知るうえで重要な資料性も持つ作品といえる。バンド自体は1975年に結成され、1977年にはNational Healthのサポートも務めている。そうした活動歴を踏まえると、『Silent Promise』は、当時の英国ジャズ・ロックの現場感と、ロック寄りの推進力を同時に持った位置づけのアルバムとして見えてくる。

バンドの成り立ちと作品の位置づけ

Turning Pointは、Isotopeの初期編成での衝突をきっかけに、そこから離れた2人を軸に作られたグループである。つまり、単に似た系統の音楽を演奏するバンドではなく、Isotopeの延長線上で別の形を探った存在でもある。本作『Silent Promise』では、Jeff Clyneのベース、Brian Millerのアコースティック/エレクトリック・ピアノとシンセサイザー、Dave Tidballのテナー/ソプラノ・サックス、Paul Robinsonのドラム、そしてPepi Lemerのヴォーカルが組み合わさり、ジャズ・ロックの編成としてはかなり見通しのよい構成になっている。

この時期の英国ジャズ・ロックは、複雑な展開や器楽的な掛け合いを持つ一方で、ロックとしての推進力も重視される傾向がある。Turning Pointもその枠内にありつつ、ヴォーカルの存在が曲の輪郭をはっきりさせている点が特徴になりやすい。National Healthのようなカンタベリー系のバンドと同じ場に立ちながら、よりソウルフルな歌ものの感触を持ち込んでいるのが、このグループらしさとして見て取れる。

注目曲:タイトル曲「Silent Promise」

タイトル曲「Silent Promise」は、アルバム全体の顔になる1曲である。ここでは、バンドの持つジャズ・ロック的なアンサンブルと、ヴォーカルを前に出した構成が分かりやすくまとまっている。ピアノ、サックス、リズム隊の動きが密に絡みながらも、演奏が過度に詰め込まれすぎず、曲としての流れが保たれているのが印象的だ。Turning Pointの音楽が、単なる技巧の見せ場ではなく、歌とフレーズのやり取りで進んでいくことが分かる。

特にこの曲では、Brian Millerの鍵盤とDave Tidballのサックスが、旋律の芯を作る役割を担っているように感じられる。そこへPepi Lemerのヴォーカルが加わることで、インスト主体の英国ジャズ・ロックとは少し違う、曲の表情が生まれる。タイトル曲として、バンドの方向性を最も端的に示す位置にある1曲といえそうだ。

注目曲:サックスと鍵盤のせめぎ合いが出る曲

本作では、サックスと鍵盤が前面に出る場面が要所にあり、そのやり取りがアルバムの聴きどころになっている。Dave Tidballのテナー/ソプラノ・サックスは、単にソロを吹くというより、アンサンブルの中で音の層を増やす役割も果たしている。そこにBrian Millerのエレクトリック・ピアノやシンセサイザーが重なり、ジャズの即興性とロックの推進力が同じ曲の中で並ぶ構図である。

このタイプの曲では、リズム隊の安定感も重要になる。Jeff ClyneのベースとPaul Robinsonのドラム、パーカッションが、細かいフレーズの応酬を支えながら、曲を前へ押していく。派手な転調や大きな展開で聴かせるというより、各パートの役割がはっきりした演奏で進むため、バンドの実力がそのまま伝わりやすい。Turning Pointの演奏は、こうした配置の妙で聴かせるタイプのジャズ・ロックとして整理できる。

同時代の文脈

1978年という時期は、英国のジャズ・ロックやフュージョンが、ロックやプログレの周辺で細かな枝分かれを見せていた時代である。Turning Pointは、その中でもIsotopeの流れを引き継ぎながら、カンタベリー系の感触に近づく地点にいたバンドとして理解しやすい。National Healthのサポート経験があることも、その周辺シーンとの距離感を示している。

『Silent Promise』は、そうした文脈の中で、英国産ジャズ・ロックの一断面を示す作品である。華美な売り出し方よりも、バンドの編成と演奏そのものに耳が向く内容で、1970年代後半のシーンを知るうえでの手がかりになる。Turning Pointという名義の作品を追うとき、まず押さえておきたいタイトルのひとつだろう。

トラックリスト

  1. A1 Silent Promise
  2. A2 Awakening
  3. A3 May Day Morn
  4. A4 Beginning Again
  5. B1 Queen Of The White E
  6. B2 Mirror
  7. B3 Mirror Mirror
  8. B4 Green Tranquility

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