Upsetters - Eastwood Rides Again (1970)
Upsetters 1970

Upsetters - Eastwood Rides Again (1970)

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Upsetters『Eastwood Rides Again』(1970)について

『Eastwood Rides Again』は、1970年にUKのTrojan Recordsから出たUpsetters名義のアルバムで、レゲエ/インストゥルメンタル・レゲエの流れの中でも、Lee “Scratch” Perry周辺の仕事を追ううえで重要な一枚だ。Upsettersは、Perryのスタジオ・バンドとして機能したグループで、固定メンバーにこだわらず、その時々で最適な演奏者を集めて録音していく形が特徴になっている。この作品も、そうしたPerryの制作スタイルがそのまま形になったような内容で、楽曲の並びからしても、サウンドシステム向けの強い推進力が前面に出ている。

1970年という時期は、ジャマイカン・レゲエがロックステディの時代を抜け、より低音を重視した形へ進んでいく過程にあたる。Trojan RecordsはそのUK側の受け皿として、当時のジャマイカ録音を広く流通させていたレーベルで、このアルバムもその文脈の中に置かれる。アルバムとしては、Perryのプロダクション、演奏陣の切れ味、そして映画『荒野の用心棒』系のイメージを引きずるタイトルまわりまで含めて、時代の空気がまとまっている印象だ。

作品の位置づけ

Upsettersは、単なる伴奏バンドというより、Lee Perryのアイデアを音に落とすための実働部隊として捉えたほうが近い。初期にはGladdy AndersonやWinston Wrightらを含む編成、続いてHippy Boysを中心とする編成へと移り、その後も流動的な体制で活動している。『Eastwood Rides Again』は、そうした変遷の中で出た1970年の作品として、PerryとUpsettersの関係がいちばん分かりやすく聴ける時期の記録でもある。

同時代の比較でいえば、より歌ものを前に出すグループも多い中で、Upsettersはリズムの骨格と反復の作り方に重心がある。King Tubby以後のダブ的感覚を先取りするほど過激ではないが、ベースとドラムの組み立て、ギターの刻み、ホーンの入り方に、後のレゲエ・インスト作品へつながる要素が見える。演奏の粒立ちを楽しむタイプのアルバムだ。

収録曲と聴きどころ

この盤でまず目を引くのは、A1「Return of Django」だ。Upsettersの代表曲として知られるタイトルで、勢いのあるリズムと、短いフレーズを反復しながら前へ進む構成がはっきりしている。元々シングルとして強い印象を残した曲で、このアルバムでも中心曲のひとつとして機能している。メロディを大きく歌い上げるというより、リフの積み重ねで場を支配していく作りで、Trojan期レゲエの入口として耳に入りやすい。

続く「Live Injection」も、同じく初期Upsettersらしい推進力がある。ベースの動きが前に出て、オルガンやギターの細かな刻みがその周囲を固める形で、音数は多くないのに密度が高い。こうした作りは、レコードで聴くときと、当時のダンスホールやサウンドシステムで鳴ったときとで、違う表情を持っていたはずだ。録音の乾いた輪郭が、そのままリズムの強さにつながっている。

A3「The Man」やA6「Tighten Up」あたりでは、曲ごとの手触りの違いが出る。前者は落ち着いた進行の中にフックを置いたタイプで、後者は当時のレゲエ・カバー/インストの文脈でも知られる題材。アルバム全体を通してみると、派手な展開よりも、短いテーマをどう繰り返すかに重きがある。そのため、1曲ごとの尺以上に、リズムの変化や音色の違いが耳に残る。

B面に入ると、さらに演奏中心の色合いが強まる。B1「Black Belt Jones」やB2「The Good, the Bad and the Upsetters」は、タイトルからも分かる通り、映画やポップカルチャーの引用を含みながら、レゲエのビートに落とし込んだタイプだ。B3「Dollar in the Teeth」、B4「Tight Spot」、B5「Riding High」などは、曲名の印象そのままに、細かなリズムの起伏で聴かせる流れになっている。

終盤の「Rivers of Babylon」も見逃しにくい。のちに広く知られることになる題材だが、この時点ではUpsettersらしい解釈で、メロディの扱いよりも、リズムの芯をどう保つかが焦点になっている。B6「Kaya」やB7「Eastwood Rides Again」まで含めると、アルバムの後半はテーマの切り替えを保ちながら、一本の流れとして聴ける構成だ。

録音とUK盤としての意味

このUK盤はTrojan Recordsからの1970年リリースで、当時のイギリスでジャマイカ音楽を広めた重要な流通経路のひとつに位置する。Trojanは、ジャマイカ録音を英国で紹介する役割を担いながら、レゲエの受容を大きく押し広げたレーベルで、Upsettersのような作品がそのカタログに並ぶこと自体が、当時のUKシーンの厚みを示している。ジャケットや編集の印象も含めて、シングル文化とアルバム文化の間をつなぐ一枚という見方ができる。

収録曲の著作表記を見ると、B&C Music、Robbins Music Corp.、Campbell/Connelly、Chappell、Copyright Controlなど、複数の出版元がクレジットされている。これは、当時のレゲエ作品がカバーや流用、再構成を柔軟に行いながら成立していたことを示す要素でもある。Upsettersのアルバムは、単独のバンド作品というより、Perryの制作現場の断面として聴くと輪郭がつかみやすい。

まとめ

『Eastwood Rides Again』は、1970年時点のUpsettersが持っていたリズムの強さ、録音の切り口、そしてLee Perryの制作感覚を、まとまった形で示すアルバムだ。代表曲「Return of Django」を含みながら、全体としては派手さよりも反復と推進で聴かせる構成。Trojan期レゲエの中でも、演奏とプロダクションの関係が見えやすい一枚として残っている。

トラックリスト

  1. A1 Eastwood Rides Again
  2. A2 Hit Me
  3. A3 Knock On Wood
  4. A4 Popcorn
  5. A5 Catch This
  6. A6 You Are Adorable
  7. A7 Capsol
  8. B1 Power Pack
  9. B2 Dollar In The Teeth
  10. B3 Baby Baby
  11. B4 Django (Ol Man River)
  12. B5 Red Hot
  13. B6 Salt And Pepper
  14. B7 Tight Spot

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