Various - Indonesia Pop Nostalgia - Pan-Indonesian Pop, Folk, Instrumentals & Children's Songs 1970s-1980s (2012)
Various 2012

Various - Indonesia Pop Nostalgia - Pan-Indonesian Pop, Folk, Instrumentals & Children's Songs 1970s-1980s (2012)

Pop Folk, World, & Country Children's Keroncong Indo-Pop

Various『Indonesia Pop Nostalgia - Pan-Indonesian Pop, Folk, Instrumentals & Children’s Songs 1970s-1980s』について

2012年にUSのSham Palaceから出たコンピレーション盤。タイトルどおり、1970年代から1980年代にかけてインドネシア各地で録音・流通したポップ、フォーク、インストゥルメンタル、子ども向け楽曲をまとめた編集盤で、アーティスト表記はVarious。単独の歌手やバンドの作品集ではなく、複数の音源を横断してインドネシア大衆音楽の幅を見せる作りになっている。

この盤の面白さは、単なる「昔の人気曲集」に収まっていないところにある。収録音源は、当時のカセットやレコードに残されたものを軸にしていて、地域ごとの違い、歌い方の癖、編成のばらつきがそのまま出ている。ポップソングの中にフォーク的な語り口が入り、器楽曲では旋律の運びが前面に出る。子ども向け楽曲も含まれているので、アルバム全体としてはかなり幅が広い。

インドネシア大衆音楽の層が見える編集

レーベル側の説明では、この作品はインドネシアの音楽が持つ混交性を示す資料として扱われている。イスラム文化、アラブ圏、南アジア、西洋の流行音楽が、それぞれの曲に入り込んでいるという見方だ。島嶼国家であるインドネシアの地理的な広がりと、長い交易・移動の歴史が、そのまま音の並びに反映されている。

収録アーティストには、Ira Maya Sopha、Dina Mariana、Bimbo、Orkes Melayu Purnama などが含まれる。AllMusicではInternationalとして扱われていて、いわゆる欧米中心のポップ史では拾いにくい領域を、発掘盤の形で見せている。編集の焦点はチャート実績よりも、当時のローカルな録音文化をどのように並置するかに置かれている。

音の印象

実際に聴くと、曲ごとの温度差がかなりはっきりしている。軽快なポップスのあとに、旋律線が前に出るフォーク寄りの曲が続き、さらに子ども向けの素朴な歌が入ることで、作品全体の空気が一方向に固定されない。録音年代は同じでも、楽器編成やアレンジの粒立ちが違い、1枚の中で複数の小さな風景が切り替わる感覚がある。

インストゥルメンタルでは、歌ものとは別の輪郭が見える。メロディの反復や伴奏の積み方が前に出て、言葉がなくても土地の空気が伝わるような構成。KeroncongやIndo-Popの要素が見える曲もあり、インドネシアのポップスが単純な輸入文化ではなく、ローカルな感覚で再編されていることが分かる。

2012年盤としての位置づけ

オリジナルの制作意図は、当時のヒット曲を年代順に並べたベスト盤とは少し違う。2012年のSham Palace盤は、もともと別々の文脈で流通していた音源を、発掘コンピレーションとして再提示したもの。再発盤として見ると、オリジナルの現地流通物が持っていた断片性や地域性を、海外のリスナーにも読み取りやすい形に組み直した編集だ。

Sham Palaceは、Mark Gergisが関わるレーベルとして知られ、Sublime Frequencies周辺の発掘志向とも近い。そうした背景もあって、この作品も「世界の珍しい音源を集めたもの」というより、現地のポップカルチャーを記録として見せる姿勢が強い。派手な売り文句より、資料としての組み方が前に出るタイプの1枚。

同時代の文脈

1970〜80年代のインドネシア音楽を考えると、欧米のディスコやポップスの影響だけでなく、伝統的な旋律感や地域ごとの歌唱法が同居していた時代でもある。この盤に入っている楽曲群も、その折衷の具合がかなり見えやすい。Bimboのようなグループ名が入っていることからも、当時のポップが単独のスターだけでなく、複数の歌手・グループ・楽団のあいだで流通していたことがうかがえる。

ヒット曲の記録を前面に出す編集ではないので、代表曲の羅列として追うより、曲ごとの作りや並びの違いを眺めるほうがこの盤の性格に合っている。インドネシアの大衆音楽を、ひとつの国の単線的なポップ史ではなく、地域差を含んだ集合体として見せる構成。そこがこのコンピレーションの核になっている。

まとめ

『Indonesia Pop Nostalgia - Pan-Indonesian Pop, Folk, Instrumentals & Children’s Songs 1970s-1980s』は、1970〜80年代インドネシアの音源を、ポップ、フォーク、器楽曲、子ども向け楽曲まで含めて並べた発掘コンピレーションだ。2012年のUS盤として出ていて、現地のヒット曲集というより、インドネシア大衆音楽の混ざり方をそのまま見せる編集に重心がある。収録曲のあいだを行き来すると、地域ごとの違いと共通点が少しずつ見えてくる、そういうタイプの1枚である。

トラックリスト

  1. A1 Ira Maya Sopha Buah Manggis 2:25
  2. A2 Dina Mariana Mari Bergoyang 3:01
  3. A3 Aria Jr. Jangan Menghina 1:57
  4. A4 Orkes Melayu Bulan Purnama Malam Joget 3:41
  5. A5 KIM Dikijoknyo 4:15
  6. A6 Bimbo Borondong Garing 3:53
  7. A7 Kamar Ruddin Z. Siti Padang 2:41
  8. B1 Orkes Melayu Bulan Purnama Bangla Desh 2:49
  9. B2 Ira Maya Sopha Kawanku 3:32
  10. B3 Zul Darwis & Asmidar Darwis Sifat Manusia 5:09
  11. B4 Aneka Ragam Hidupku Untuk Tjinta 2:42
  12. B5 Kamar Ruddin Z. Endar Lela 6:15

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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