Warp 9 - Fade In, Fade Out (1986)
Warp 9『Fade In, Fade Out』について
Warp 9の『Fade In, Fade Out』は、1986年に米Motownから登場したアルバムで、彼らの初期に知られるエレクトロ路線から、よりソウル寄りのR&Bへと舵を切った作品だ。Warp 9はニューヨークのエレクトロ・シーンで台頭したグループで、初期にはコンガやボコーダーを使った、当時のアンダーグラウンドな感触の強いサウンドで注目を集めていた。この作品では、その作風をそのまま引き延ばすのではなく、80年代中盤のメジャーR&Bの文法に寄せた作りになっているのが大きな特徴だ。
制作面では、Lotti GoldenとRichard Scherが引き続き中心にいる。表に出るボーカルはKatherine JoyceとChuck Wansleyが担い、前面に出ていたMilton “Boe” Brownの時代とはまた違う構成になっている。ニューヨークのShakedown SoundとCarnegie Hill Studiosで録音・ミックスされており、クレジット上もA Prism Records Production、そしてMotownでの発売という流れが確認できる。1986年当時のMotownは、ソウルの伝統だけでなく、80年代の都会的なポップ/R&B作品も抱えていた時期で、この盤もその文脈に置かれる作品だ。
作品の位置づけ
Warp 9にとって『Fade In, Fade Out』は、初期のエレクトロ・ファンクからの変化をはっきり示す一枚だ。『Nunk』や『Light Years Away』のような、打ち込み主体で実験性のある時期を知っていると、このアルバムの整った歌もの志向はかなり印象が変わる。とはいえ、単なる方向転換ではなく、グループの核にあった近未来感を、より滑らかなR&Bのフォーマットへ移した作品として聴ける。
80年代中盤のニューヨークR&Bには、ダンス・ミュージックの感覚と歌ものの構成を接続する動きが多く、Warp 9もその流れの中にいる。完全にエレクトロの側へ残るのでもなく、従来のソウル・グループへ寄り切るのでもない、その中間の立ち位置がこの盤の性格になっている。
聴きどころ
この作品の聴きどころは、まずリズムの整理された鳴り方だ。初期Warp 9のような鋭い機械感よりも、ドラムの骨格と歌の流れが前に出てくる。ベースラインやシンセの配置も、フロア向けの推進力を残しながら、メジャーR&Bらしい丸みを持っている。音の密度は十分あるが、過剰に尖らせず、ボーカルが中心に来る作り。
実際に通して聴くと、アルバム全体はかなり統一感がある。どの曲も同じ方向を向いていて、派手な破綻や極端な仕掛けで引っ張るタイプではない。むしろ、アレンジの細部やコーラスの重ね方、シンセの光り方のような部分に耳が向く。初期のWarp 9を期待すると印象は変わるが、1986年のR&B作品としてはまとまりのある仕上がりだ。
代表曲としての「Fade In, Fade Out」
タイトル曲の「Fade In, Fade Out」は、このアルバムの方向性をそのまま示す中心曲だ。Warp 9の名前を知る人なら、ここでのボーカルの置き方やビートの運びに、以前のエレクトロ作品との距離を感じるはずだ。打ち込みの輪郭は残しつつも、曲の重心はあくまで歌とメロディにある。グループの持っていた先鋭的な感覚を、より広い層に届く形へ整えたような一曲。
タイトルの通り、前景と背景が入れ替わるような構成感もある。音数を増やして押し切るのではなく、要所で声が立ち、そこにリズムが追随する作り。Warp 9の初期を代表する曲群とは性格が違うが、グループの変化を知るうえでは重要な位置にある。
「Nunk」以降との比較
Warp 9を語るとき、どうしても『Nunk』や『Light Years Away』のような初期エレクトロ作品が基準になる。この『Fade In, Fade Out』は、その延長線上にありながら、かなり別の顔を見せる。初期作にあったロボティックな感触や、アフロフューチャリズム的な視点は後景に下がり、代わりにソウル・グループとしての整った歌唱と、80年代のメインストリームR&Bに近い手触りが前に出る。
そのため、このアルバムは「エレクトロの名盤」というより、エレクトロを出発点にしたグループが、Motownという看板のもとでどこまでR&Bへ寄せられるかを示した記録として見ると輪郭がはっきりする。初期Warp 9のファンにとっては驚きのある内容だが、グループの変遷を追う上では外せない一枚だ。
まとめ
『Fade In, Fade Out』は、Warp 9のキャリアの中で、初期エレクトロから80年代中盤のソウル/R&Bへと移る節目の作品だ。Motownからの1986年盤という事実も含めて、当時のメジャーR&Bの空気をよく映している。派手な実験よりも、歌、アレンジ、プロダクションのまとまりで聴かせるアルバムであり、Warp 9の別の側面を確認できる内容になっている。
トラックリスト
- A1 Skips A Beat 3:50
- A2 Dirty Looks 5:41
- A3 Big Fun 5:18
- A4 Reach For Your Star 5:25
- B1 The Cutting Edge 5:31
- B2 King Of Hearts 5:25
- B3 You'll Get Over It 4:32
- B4 To The Last Drop 5:00
動画
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Warp9 - Fade In Fade Out (1986) - A1 - Skips A Beat
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Warp9 - Fade In Fade Out (1986) - A2 - Dirty Looks
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Warp9 - Fade In Fade Out (1986) - A3 - Big Fun
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Warp9 - Fade In Fade Out (1986) - A4 - Reach For Your Star
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Warp9 - Fade In Fade Out (1986) - B1 - The Cutting Edge
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Warp9 - Fade In Fade Out (1986) - B2 - King Of Hearts
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Warp9 - Fade In Fade Out (1986) - B4 - To The Last Drop
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Warp 9 - Skips A Beat (12'')
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Warp 9 - Fade In Fade Out 1986 Complete LP
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Warp 9 - Dirty Looks
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Warp 9 Big Fun
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warp 9-the cutting edge(1986)rare funky synth-pop.
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Warp 9 - To The Last Drop
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Warp 9 - You'll Get Over It (1986) [Electrofunk] HQ