Wishbone Ash - New England (1976)
Wishbone Ash 1976

Wishbone Ash - New England (1976)

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Wishbone Ash『New England』(1976) について

『New England』は、イギリスのロック・バンド、Wishbone Ashが1976年に発表した7作目のスタジオ・アルバムである。バンドの代名詞ともいえるツイン・リード・ギターを軸に、ハードなロック感と叙情的な展開を行き来する作りで、70年代中盤のWishbone Ashらしさがまとまった1枚といえる。レーベルはAtlantic、US盤はSD 18200。ここでは1976年のオリジナル盤としての位置づけで見るのが自然だろう。

Wishbone Ashは、1969年にデヴォンで結成された英国のロック・バンドで、初期から2本のリード・ギターを前面に出した編成で知られている。ハードロック、プログレッシブ・ロック、ブリティッシュ・ロックの交差点に立つ存在で、同時代のバンドの中でもギターの掛け合いを中心に据えたサウンド設計が特徴的だ。『New England』でもその持ち味ははっきりしていて、演奏の呼吸やフレーズの受け渡しが、曲そのものの推進力になっている。

アルバム全体の印象

この作品は、派手な一発で押し切るというより、曲ごとの構成とアンサンブルで聴かせるタイプのアルバムである。リフの立った曲、歌を前に出した曲、展開のある曲が並び、バンドの持つ「歌えるロック」と「演奏を聴かせるロック」の両面が見えやすい。70年代半ばの英国ロックらしく、アメリカ市場を意識した骨格の太さもありつつ、Wishbone Ash特有の線の細いメロディ感も残っている。

当時のブリティッシュ・ロックの文脈で見ると、同じくツイン・ギターを武器にしたThin Lizzyや、よりハードな方向へ寄ったバンド群と比較されることがある。ただしWishbone Ashは、リフの強度だけで押すよりも、ギター同士の対話や曲の流れを重視する点で少し立ち位置が違う。『New England』はその差が分かりやすい作品で、演奏の密度を保ちながら、曲の骨組みを崩さない作りになっている。

注目曲「New England」

タイトル曲「New England」は、アルバムの性格を端的に示す曲である。ギターの絡み方が前に出ていて、曲名の通りどこか景色の広がりを感じさせる構成だが、実際の中身はかなりロック色が強い。リード・ギターが交互に前へ出るだけでなく、リフの合間に細かいフレーズを差し込むことで、単調にならない流れを作っている。

歌が入る部分では、メロディを支えるバンド側の動きが整理され、演奏の隙間がきれいに残る。耳で追うと、ギターがずっと鳴っているのに、互いにぶつかりすぎていないのが分かる。Wishbone Ashの強みがそのまま出た1曲で、アルバムの入口としても機能している。

注目曲「Runaway」

「Runaway」は、より推進力のあるナンバーとして耳に残る。リズムの刻みがはっきりしていて、ギターのリフとボーカルのフレーズが前へ進む感覚を作る。ここではツイン・リードの役割分担が分かりやすく、片方が骨格を支え、もう片方が旋律を伸ばすような形で曲を組み立てている。

この手の曲では、演奏が厚くなるほど輪郭がぼやけやすいが、『Runaway』は比較的見通しがよい。ロック曲としての直進性を保ちながら、バンドらしい細かな動きも残している。アルバムの中で、演奏力と楽曲性の両方を確認しやすい一曲といえる。

注目曲「Lorelei」

「Lorelei」は、アルバムの中でも比較的メロディの印象が残りやすい曲として挙げやすい。タイトルから受けるイメージどおり、叙情的な側面が前に出ていて、ギターのフレーズが歌の輪郭をなぞるように配置されている。Wishbone Ashらしい、音数を詰め込みすぎずに流れを作る組み立てである。

この曲では、派手な展開よりも、フレーズの持続と余韻が重要になっている。ツイン・ギターのバランスがよく出ており、片方が主旋律を担う間に、もう片方が下支えに回る場面が印象的だ。アルバムの中で、演奏の巧さが最も自然な形で伝わるタイプの曲だろう。

US盤とAtlanticレーベルについて

US盤はAtlanticのSD 18200で、1976年のリリース。Atlanticは当時すでに大手レーベルとして、ロック作品の流通と認知を強く支えていた時期である。70年代中盤の同レーベルのロック盤らしく、ジャケットと音源の両面で、商業的なまとまりとバンドの個性を同居させた仕上がりになっている。

盤として見ると、この時期のAtlantic作品はプレス工場やラベル表記の違いが出やすいが、作品そのものの性格は変わらない。オリジナルの1976年盤としては、Wishbone Ashの中期を代表する1枚として扱いやすい位置にある。

まとめ

『New England』は、Wishbone Ashが築いてきたツイン・リード中心のロックを、70年代中盤の音像で整理したアルバムである。ギターの掛け合い、曲の流れ、歌メロの置き方がバランスよくまとまっていて、バンドの持ち味が確認しやすい。派手な話題性よりも、演奏と構成で印象を残すタイプの作品として、1976年のブリティッシュ・ロックの中でひとつの位置を占めている。

トラックリスト

  1. A1 Mother Of Pearl 4:28
  2. A2 (In All Of My Dreams) You Rescue Me 6:14
  3. A3 Runaway 3:17
  4. A4 Lorelei 5:27
  5. B1 Outward Bound 4:49
  6. B2 Prelude 1:15
  7. B3 When You Know Love 5:49
  8. B4 Lonely Island 4:28
  9. B5 Candle-Light 1:49

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