Vinyl Record Reviews
Aphex Twinは、リチャード・D・ジェイムスによるUKの電子音楽プロジェクト。1971年8月18日にアイルランドのリムリックで生まれ、イングランド南西部のコーンウォールで育った。1991年には盟友とともにRephlexレーベルを共同設立し、以後はRephlex、Warp Records、ほか複数のレーベルから作品を発表している。
初期の重要作としてよく挙げられるのが、1992年のデビュー作『Selected Ambient Works 85-92』。13〜14歳の頃からカセットテープに録りためていた楽曲を集めた作品で、アンビエントの要素とテクノのリズムを組み合わせた内容になっている。このアルバムは、後にIDMと呼ばれる流れの土台として扱われることが多い。
1990年代後半からは、より広い知名度も得る。1997年の『Richard D. James Album』は全英36位、1999年の『Windowlicker』は全英16位を記録した。2001年の『Drukqs』以降は長い沈黙期間に入ったが、2014年には『Syro』を予告し、2015年のグラミー賞で最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバム賞を受賞している。
Aphex Twinの音楽は、Electronicの中でもIDM、Experimental、Abstract、Acidといった要素で語られることが多い。リズムの組み立て方が細かく、音色の処理も独特で、曲ごとに印象がかなり変わる。アンビエント寄りの静かな曲から、アシッド・テクノの鋭いトラックまで幅が広いのが特徴だ。
初期作では、旋律よりも音の配置や質感に注意が向けられていて、テクノの拍感を保ちながらも、一般的なダンス・ミュージックとは少し違う作りになっている。そうした作風が、後のIDMや実験的なエレクトロニック作品に影響を与えた。
Aphex Twinを語るうえで、映像作家クリス・カニンガムとのコラボレーションも外せない。1997年の「Come to Daddy」ではカニンガムが監督デビューを果たし、続く「Windowlicker」でも強い印象を残した。どちらも音楽だけでなく映像面でも話題になり、作品の存在感を広げている。
公の場で多くを語らない姿勢や、素性をあまり前に出さない活動スタイルも、Aphex Twinの特徴として知られている。そのため、電子音楽シーンでは実力と同時に、謎めいた存在としても見られてきた。
公式サイトはWarp RecordsのページやBandcamp、SoundCloud、YouTubeなどで確認できる。作品ごとの公開形態や関連情報も含めて、現在も追いやすいアーティストだ。