Vinyl Record Reviews
Brainboxは、1968年にアムステルダムで結成されたオランダのロック・バンドだ。中心にいたのは、ギタリストのJan Akkerman、ドラマーのPierre van der Linden、ヴォーカルのKazimierz Lux(Kaz)の3人で、のちにメンバーを入れ替えながら活動を続けた。ジャンルはロックで、ブルース・ロックとクラシック・ロックを軸にしている。
Brainboxは、1968年の結成直後から、ブルース・ロックにプログレッシブ・ロック、サイケデリック・ロック、ファンク・ロックの要素を混ぜたサウンドで注目を集めた。デビュー・シングル「Down Man」では、その方向性がはっきり出ている。
1969年にはセルフタイトルのデビュー・アルバム『Brainbox』を発表した。ここでは、Akkermanのジャズ・ロック寄りのギター、van der Lindenのドラム、Kaz Luxの強い歌声が前面に出ている。
1969年後半、Akkermanはデビュー・アルバムの発表後にバンドを離れ、Focusへ加入した。その後、BrainboxにはHerman MeyerやRudie de Queljoe、Frans Smitらが加わっている。ベーシストのCyril Havermansもこの流れの中で関わっている。
1971年にKaz Luxが脱退すると人気は下がり、1972年に解散した。同年には『Parts』も発表されている。短い活動期間ではあるが、シングルやアルバムを通して一定の存在感を残した。
1969年から1971年にかけては、オランダで「Doomsday Train」「Summertime」「To You」「Virgin」「The Smile」などがヒットしている。「Summertime」はジョージ・ガーシュウィン作品のカバーとして知られる。
Brainboxの音は、ブルース・ロックを土台にしながら、演奏の中にプログレッシブ・ロック的な展開やサイケデリックな要素を含んでいる。Akkermanのギターは細かいフレーズと音の切り替えが目立ち、Kaz Luxのヴォーカルは前に出るタイプだ。そこに、当時のオランダ・ロックらしい実験性も重なっている。
Brainboxは2004年にKaz LuxがAkkermanなしで再結成し、オランダでライブを行っている。その後も2010年から2011年にかけて活動があり、2011年には新作『The 3rd Flood』をリリースした。
Brainboxは、オランダのロック史の中で、ブルース・ロックを出発点にしながら、プログレッシブ・ロック寄りの感触を持ち込んだバンドとして見られている。特にJan Akkermanの初期キャリアを知るうえでも重要な存在だ。短期間の活動ながら、シングル・ヒットとアルバムを残し、その後のメンバーの動きも含めて、60年代末から70年代初頭のオランダ・ロックの流れを追うときに外せないバンドだ。