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Bunalımは、1969年夏にトルコで結成されたロック・バンドだ。名前の「Bunalım」はトルコ語で「depression」や「frustration」を意味する。1970年代前半のトルコ・アンダーグラウンド・シーンでよく知られたグループのひとつで、活動時期は長くないが、トルコ音楽史では重要な存在として扱われている。
Bunalımの前身は、Sorularというバンドだった。この時点ではシングルもアルバムも残していない。転機になったのは、トルコロック史を代表するミュージシャン、ジェム・カラジャが自身のバンドApaşlarとともに彼らの街でコンサートを行った場面だ。Sorularは共演に招かれ、その夜の演奏を気に入ったカラジャが後押しを決めたとされる。
その約1カ月後には、カラジャ自身のプロデュースでデビュー・シングル「Yeter Artık Kadın」を録音した。ここからBunalımとしての活動が本格化した、という流れが確認できる。
Bunalımは1970年から1972年にかけて、計6枚のシングルを発表している。ただし、フルアルバムは最後まで完成しなかった。現存するディスコグラフィーは少ないが、そのぶん当時のトルコ・ロックの記録として注目されている。
シングルは現在ではかなり入手しづらく、コレクターの間でも珍しい存在として扱われている。短い活動期間の中で作品数は多くないものの、バンドの名前は後年まで残った。
Bunalımの音楽は、ヘヴィなサイケデリック・ロックを軸に、トルコの伝統音楽の要素を混ぜたものとして語られることが多い。英米のハードロックからの影響もはっきりしていて、挙げられている名前にはレッド・ツェッペリン、ユーライア・ヒープ、クリーム、ディープ・パープルがある。
編成は時期によって変化しているが、ウェブ上の情報では、メリック・イルミビル、ベルチ・イェナル、ヌル・イェナル、アイドゥン・チャクシュの4人編成で重厚なサウンドを志向していたことが示されている。ギターの歪みや強いリズム感に、トルコ音楽の旋律やリズムの感覚が重なる形だ。
Bunalımのメンバーたちは、その後もトルコのロック/サイケデリック・シーンで活動を続けた。名前が挙がる先には、Erkin KorayやMoğollar、そしてKorayが元Bunalımメンバーと結成したTerなどがある。Bunalımが単独で長い活動を残したわけではないが、メンバーの動きはその後のシーンにつながっている。
ベーシストのアイドゥン・チャクシュは後にアメリカへ渡り、Fear Natureを結成してCDを3枚発表している。こうした経歴を見ると、Bunalımはひとつのバンドとしてだけでなく、メンバーの次の活動へつながる出発点でもあったことがわかる。
Bunalımは、作品数だけを見ると小さな存在だが、1970年代初頭のトルコ・アンダーグラウンドを語るうえで外せないグループだ。ジェム・カラジャの後押しで本格始動し、英米ハードロックの影響とトルコの伝統音楽を結びつけたサウンドを残した点が、当時の流れをよく示している。
短い活動期間、少ないリリース、そしてメンバーのその後の展開まで含めて見ると、Bunalımはトルコのロック史の中で、次の世代へつながる役割を担ったバンドとして整理できる。