Caldera

Vinyl Record Reviews

Calderaについて

Calderaは、ロバート・マルゴーレフ(Robert Margouleff)とマルコム・セシル(Malcolm Cecil)を中心にした短命のプロジェクトだ。2人はのちに電子音楽デュオ、トントズ・エクスパンディング・ヘッド・バンド(Tonto's Expanding Head Band)を組むことになるが、Calderaはその前段階の活動として位置づけられている。ジョン・アトキンスも参加しており、チェロやハープシコードを含む編成で作品を残している。

残した作品は1枚のみ

Calderaが発表した作品は、1970年の『Stabat Mater: A Moog Mass』のみだ。『A Moog Mass』の名前でも知られている。宗教的なテーマを持つコンセプト・アルバムで、ラテン語の聖書の語句を歌うヴォーカル、ムーグ・シンセサイザー、クラシック寄りのパッセージ、ヴォコーダー処理を組み合わせている。

この作品では、18世紀の作曲家アントニオ・カルダーラの作品を素材にしたとされている。プレス資料などでバンド名が「Caldara」と誤記されることもあったようだ。Discogsのクレジットでは、マルゴーレフがムーグのプログラミングと効果、合成音声の技法を担当し、マルゴーレフとセシルがエンジニアを務めている。

音楽性は電子音楽とクラシックの接点にある

Calderaの音楽は、電子音楽とクラシックをつなぐ作りになっている。ムーグ・シンセサイザーの音を中心にしながら、宗教曲の形式や古典音楽の素材を取り込み、そこにヴォコーダーを使った処理を加えている。メンバー構成にもチェロやハープシコードが入っていて、電子機材だけで組み立てた作品ではない。

スタイル欄にある「Medieval」は、作品の宗教的な題材や古楽的な響きと結びついている。とはいえ、実際の中心は1970年時点での電子音響の試みで、ムーグの扱い方そのものが大きな特徴になっている。

その後の活動につながる出発点

Calderaの後、マルゴーレフとセシルはMoogのモジュラー・シンセサイザーを核に活動を続ける。さらに、セシルが何年もかけて設計・構築した巨大なマルチ・ティンバー・ポリフォニック・アナログ・シンセサイザー「TONTO(The Original New Timbral Orchestra)」を軸に展開していく。

1971年にはデビュー作『Zero Time』を発表し、ここで注目を集めた。その後はスティーヴィー・ワンダーが『Music of My Mind』以降の複数作でTONTOを使用し、『Innervisions』ではグラミー賞も受賞している。Calderaは作品数こそ少ないが、この後の大きな流れの入口にあたる活動として見ておくと整理しやすい。

ジャンル・スタイル

Classical Electronic Medieval
toast