Vinyl Record Reviews
Charli XCXは、イギリス・ケンブリッジ出身のシンガー/ソングライターだ。1992年8月2日生まれで、活動名はCharli XCX、あるいは xcx と表記されることもある。ポップを軸にしながら、Electronic、Rock、Popの要素を行き来する作品を発表してきた。
10代のころからMySpaceを通じて楽曲を公開し、早い段階でソングライターとして注目を集めた。2012年にはIcona Popのヒット曲「I Love It」の作詞に参加し、2014年にはイギー・アゼリア「Fancy」に客演して全米1位を記録している。同じ年のソロ曲「Boom Clap」は、映画『きっと、星のせいじゃない。』の主題歌として広く知られ、自身初のトップ10ヒットになった。
2015年のEP『Vroom Vroom』では、ロンドンのレーベル/アート集団PC Musicの作家陣、とくにSOPHIEと組み、作風を大きく切り替えた。ここでは、過剰に加工されたシンセサウンドが前面に出ていて、後にハイパーポップと呼ばれる流れの初期例として扱われることが多い。
その流れは、2017年のミックステープ『Number 1 Angel』と『Pop 2』にも続く。どちらも、ポップの枠組みを保ちながら、音の質感や構成をかなり大胆に崩している。
2019年の『Charli』、2022年の『Crash』では、再びメインストリーム寄りのポップに軸足を戻している。ここでのCharli XCXは、実験的な電子音楽の手触りと、ポップソングとしての分かりやすさを行き来している。作品ごとに方向が少しずつ変わるのが、この人のキャリアの見えやすい特徴だ。
2024年6月に発表した6作目『Brat』は、ライムグリーンの背景にArial書体でタイトルだけを置いたジャケットでも目を引いた。この作品をきっかけに「brat summer」と呼ばれる現象が広がり、「brat」はコリンズ英語辞典の2024年の「今年の言葉」にも選ばれている。
また、このイメージは音楽の外にも波及し、米大統領選ではカマラ・ハリス陣営が取り入れたとされる。Charli XCXの作品が、ポップソングの範囲を超えて視覚表現や文化的な話題にも結びついていることがわかる。
Charli XCXは、ヒット曲のソングライターとしての実績と、音の作りを大胆に変えていく動きの両方で見ていけるアーティストだ。ポップの表面だけでなく、その裏で何を試してきたかを追うと、作品ごとの違いがかなりはっきりしてくる。