Vinyl Record Reviews
Chillumは、UKのプログレッシブ/サイケデリック系バンドとして知られるグループで、Second Handの後継として登場した。メンバーはKen Elliott、Kieran O'Connor、Tony McGill、George Hartの4人。中心にいたのは、Second Handでも活動していたKen ElliottとKieran O'Connorで、そこに新たにギタリストのTony McGillが加わったことで、バンドの方向性が変わっていった。
もともとはSecond Handの3作目に向けたセッションとして始まったが、制作の途中で編成と内容が大きく変化した。新加入のTony McGillの演奏が加わったことで、きっちり組み立てられた楽曲中心の形から、長めのアンサンブル演奏を軸にした構成へ移っていく。そこでバンド名もChillumへ改められた。
この流れを受けて、Chillumとして残された作品は1枚だけで、1971年12月にMushroom Recordsからアルバム『Chillum』が発表された。
編成を見ると、キーボード、メロトロン、オルガンを担うKen Elliottを軸に、ギター、ベース、ドラムが組み合わさったシンプルな4人編成だ。演奏面では、この4人のぶつかり合いがそのまま作品の性格を決めている。
『Chillum』の特徴としてまず挙がるのが、A面全体を「Brain Strain」という1曲に充てている点だ。この曲は、プロデューサーのVic Kearyがたまたまテープを回していた、Tony McGillのオーディション時の演奏がそのまま収録されたものだとされている。
サウンド面では、Ken Elliottのハモンド・オルガンやメロトロン、Tony McGillの歪んだギター、Kieran O'Connorの強いドラミングが中心になる。そこにサイケデリックな感触、ヘヴィなプログレッシブ・ロック、ジャズ的な即興、スタジオでの偶発的な実験が混ざっている。
楽曲のまとまりよりも、演奏の展開や音の重なりが前に出るため、聴き手によって受け取り方がかなり分かれやすい。実際、難解さのために高く評価する声もあれば、かなり厳しく受け止められることもある。
Chillumは、Second Handから続く流れの中で生まれたグループとして見られている。特にKen ElliottとKieran O'Connorの継続参加が、バンドの出発点になっている。
一方で、完成した作品は『Chillum』1枚だけで、その内容もかなり特殊だ。長尺の演奏、即興性の強さ、録音時の偶然性が前面に出ているため、一般的なプログレ作品とは少し違う位置に置かれている。紹介文などでは「世界の終わりをサウンドトラックする狂ったインストゥルメンタルのカンタベリー・バンド」と形容されることもあるが、少なくとも演奏の密度と構成の偏りが強い作品として扱われている。
Chillumを聴くなら、まずは「Brain Strain」の流れに注目すると分かりやすい。ギター、オルガン、ドラムの3者がどう絡むか、曲としてまとまるというより、どう展開していくかを追うと、このバンドの特徴が見えやすい。
Second Handの延長線上にありながら、より自由度の高い演奏へ振れたバンドとして、70年代初頭のUKプログレやサイケデリック・ロックの周辺を掘るときに名前が出てくる存在だ。