Vinyl Record Reviews
Digital Emotionは、オランダのエレクトロ/ディスコ系プロジェクトだ。1983年に始動し、Cat Music(Catapult)系の制作チームが「Adams & Fleisner」名義で手がけた。活動の中心には、アールト・モル、セース・ベルフマン、エルマー・ヴェーホフ、エルヴィン・ヴァン・プレーン、ヘールチャン・ヘッシングといったメンバーがいた。
プロフィール情報では、男性ボーカルはAdams & Fleisner自身、とくにCees R. Bergmanが担当し、女性ボーカルはオランダのトリオ、The Internationalsが担当していた。演奏、録音、ミックスまでをこの制作チームでまとめていた点も特徴だ。
Digital Emotionは1983年にデビュー・シングル「Get Up, Action」と「Go Go Yellow Screen」を発表し、これらが世界的にヒットしたとされている。翌1984年にはセルフタイトルのアルバム『Digital Emotion』をリリースし、1985年には『Outside In The Dark』を発表した。
同じ制作チームは、X-Ray ConnectionやWoodpeckers from Spaceなど別名義でもダンス・ミュージック制作に関わっていた。1980年代前半のオランダ発ダンス・ミュージックの現場で、複数のプロジェクトを並行して動かしていた形だ。
Digital Emotionのサウンドは、反復するシンセサイザーのリフとロボティックなボーカルが軸になっている。ディスコの4つ打ち感と、エレクトロ寄りの機械的な鳴りを組み合わせた作りだ。
楽曲はすべて制作チーム自身が作曲、演奏、録音、ミックスを担当している。外部ミュージシャンに大きく依存せず、プロジェクト単位で音を組み立てていた点がはっきりしている。
Digital Emotionは、当時のイタロ・ディスコやユーロディスコを代表する存在のひとつとして扱われている。1980年代前半のダンス・ミュージックの流れの中で、シンセ主体のトラックと機械的な歌声を前面に出したスタイルが目立っていた。
後年のシンセポップやイタロ・ディスコのリバイバル勢が、影響源のひとつとしてDigital Emotionを挙げることもある。制作主導型のプロジェクトとして、80年代の電子ダンス・ミュージックの作り方を示した例のひとつとして見られている。
Digital Emotionを聴くときは、ボーカルの処理とシンセの反復に注目しやすい。曲の構成よりも、音色の配置やリズムの押し出し方に制作チームの個性が出ている。
1980年代のオランダ産ディスコ/エレクトロを追ううえで、Digital Emotionは外せない名前だ。ヒット曲からアルバム作品まで、当時のダンスフロア向けサウンドの作り方がそのまま残っている。