Vinyl Record Reviews
DJ Camは、1973年3月29日生まれ、パリ出身のDJ/プロデューサーだ。ヒップホップ、ジャズ、エレクトロニックを横断しながら、ダウンテンポやトリップホップ、インストゥルメンタル寄りの作品を発表してきた。
1990年代のフレンチ・タッチを語るうえで、DJ Camの名前は外しにくい。ディミトリ・フロム・パリスと組んだLa Yellow 357への参加もあり、この時期のフランスのクラブ/エレクトロニック・シーンで重要な役割を担っていた。
自身のレーベルStreet Jazz Productions(のちにInflamableへ改称)から1995年に発表したアルバム『Underground Vibes』は、インストゥルメンタル主体のヒップホップ作品として早い時期の例に数えられている。のちにShadow Recordsから『Mad Blunted Jazz』として再発され、フランス国外でも知られるきっかけになった。
DJ Camは、幼少期からジャズに親しんでいたとされている。その背景をもとに、ジャズの要素とヒップホップのサンプリング、スクラッチを組み合わせた制作を続けてきた。ビートを前面に出しつつ、ジャズ由来のフレーズや質感を取り入れる構成が特徴として挙げられる。
ジャンル表記としてはElectronic、Hip Hop、Jazzにまたがり、スタイルとしてはDowntempo、Trip Hop、Instrumentalが中心だ。クラブ向けの派手な展開よりも、リズムと音の断片を積み重ねる作り方に重心がある。
ソロでは2002年までに5枚のスタジオ・アルバムをリリースしている。その後はアルバム制作だけでなく、コンピレーションの制作も手がけたほか、Tassel & Naturelの作品やIn Loveのファースト・アルバムのプロデュースも担当した。2007年にはBouncer Crew名義でアルバムを制作している。
自分名義の作品に限らず、プロデューサーとして他のアーティストの作品に関わってきた点も、DJ Camの活動歴の中で押さえておきたいところだ。
現在はBandcamp、Facebook、Instagram、SoundCloud、X、LinkedInなどで情報を発信している。作品をたどるなら、まずは『Underground Vibes』や『Mad Blunted Jazz』の系譜から入ると、ジャズとヒップホップの接続の仕方が見えやすい。