Vinyl Record Reviews
Don Rayは、フランス出身のディスコ・プロデューサー、アレンジャー、キーボード奏者、パフォーマー。本名はRaymond Donnezで、1942年9月9日にオルネー=スー=ボワで生まれ、2019年3月7日に亡くなった。ユーロ・ディスコの文脈では、カルト的な人気を持つ人物として知られている。
Don Rayは、自身のソロ作品だけでなく、70年代のフレンチ・ディスコの制作現場で幅広く活動した。Cerroneのアルバム「Love in C Minor」「IV」「VI」「VIII」ではキーボードを担当している。Alec R. Costandinosの作品にも多く参加していて、クレジット上でも名前を見かける機会が多い。
さらに、Leroy Gomez率いるSanta Esmeraldaの「Don't Let Me Be Misunderstood」のカヴァーではプロデュースを手がけたほか、Love and Kissesでは指揮とアレンジも担当している。制作、演奏、アレンジの各面で動いていた人だ。
ソロ名義ではPolydorから作品を出している。1978年のアルバム「The Garden of Love」は、Cerroneがプロデュースした1枚で、収録曲「Got To Have Loving」はディスコ・ヒットとして知られる。この曲はCerroneとの共作で、Cerrone自身もドラムで参加している。
「Got To Have Loving」は1978年10月に全米Hot 100で44位まで上がり、ラジオでもクロスオーバー的に広がった。ソロ作の中では、この曲がいちばん広く知られている。
Don Rayの音楽は、Funk / Soulを土台にしたDiscoとして整理されることが多い。実際には、ダンス向けのビートだけでなく、キーボードのフレーズやアレンジの組み立てがはっきりしている。制作側の仕事を長く続けていたこともあって、演奏だけでなく曲全体の流れを作る役割が目立つ。
「The Garden of Love」には、ジャズ・ファンクの定番として挙げられる「Standing in the Rain」や、テンポを落とした「My Desire」も入っている。ディスコだけでなく、ファンク寄りの曲やスローな曲も扱っている点は、ソロ作を聴くと確認しやすい。
Don Rayはユーロヴィジョン・ソング・コンテストでも1974年、1976年、1977年に指揮者を務めている。1977年には、フランスの優勝曲となったMarie Myriamの「L'oiseau et l'enfant」を指揮した。
Don Rayは、表に出るソロ・アーティストとしてだけでなく、フレンチ・ディスコの制作現場を支えた人物としても押さえておきたい存在だ。作品数は多くなくても、参加作を追うと70年代後半のディスコの流れが見えやすい。