Vinyl Record Reviews
Fernando Yvoskyは、ベネズエラの舞台演出家、劇作家、俳優、そして音楽家として活動した人物である。音楽面では、Electronic、Rock、Latinをまたぐ作品を残しており、プロフィール上はExperimental、Prog Rock、Symphonic Rockの領域に位置づけられている。
Yvoskyの音楽活動でまず挙げられるのが、1975年に自主制作で発表されたアルバム『Dos Mundos』である。この作品には、ベース、ドラム、ギター、管弦楽器を含む20人近いミュージシャンが参加している。コンセプト作として作られており、当時のベネズエラのロック作品としてもかなり大掛かりな編成だったようだ。
『Dos Mundos』は、GenesisやPFMを思わせるシンフォニック・プログレッシブ・ロックを土台にしつつ、ギタリストAdid Castaによるヘヴィなパートも差し込まれている。Yvosky自身の歌唱と、複数のシンセサイザーを使った音響設計がこのアルバムの中心になっている。
Yvoskyの音楽は、ロックの構成感とラテン的な要素、電子音の扱いが交差するところに特徴がある。『Dos Mundos』では、シンフォニック・ロックらしい展開の中に、劇的な場面転換や厚みのあるアレンジが組み込まれている。そこに、歌とシンセサイザーの役割がはっきり置かれているのが面白いところだ。
また、彼の活動背景に演劇があることもあってか、単なる演奏中心のロックというより、作品全体の流れや場面の切り替えを意識した作りが見える。少なくとも『Dos Mundos』については、コンセプト・アルバムとしての構成が明確で、音だけでなく物語性も重視している印象がある。
Yvoskyの音楽が広く知られるようになったのは、2016年にイギリスのSoul Jazz Recordsが出したコンピレーション『Venezuela 70: Cosmic Visions Of A Latin American Earth』への収録が大きい。このアルバムは、1970年代のベネズエラで生まれた実験的な音楽シーンをまとめたもので、伝統音楽、ロック、ファンク、ジャズ、エレクトロニカを横断する作品群が紹介された。
このコンピレーションでは、Vytas Brenner、Angel Rada、Miguel Angel Fusterらと並んでYvoskyも取り上げられている。これによって、長く一部のリスナーに知られる存在だった彼の音楽が、国際的に見直される流れにつながった。
1970年代のベネズエラは、石油収入を背景に経済や文化の面で存在感を持っていた時期で、その中で実験的な音楽がいくつも生まれている。Yvoskyは、その流れの中で活動した人物の一人として紹介されている。
彼の作品は、単独で完結したロック作品というより、当時のベネズエラで起きていた音楽的な混交を示す資料にもなっている。ロック、ラテン、電子音、シンフォニックな編成が同居する点は、その時代のシーンを知るうえで分かりやすい手がかりになっている。