Vinyl Record Reviews
Fripp & Enoは、King CrimsonのギタリストRobert Frippと、元Roxy MusicのBrian Enoによるデュオだ。活動の中心は1970年代で、1973年から1979年にかけて作品を残し、その後2004年から2006年にも再び共同作業を行っている。編成はギターとキーボード、そしてテープ機材を使ったサウンド処理が基本で、演奏の多くはインストゥルメンタルでまとまっている。
共演の出発点は、Enoが行っていたテープ・ディレイの実験にある。自宅スタジオでFrippに2台のテープ・レコーダーを使ったディレイの方法を紹介し、1972年9月8日にFrippのギターを重ねて録音した約21分の「The Heavenly Music Corporation」が最初の成果になった。1台目の録音ヘッドを2台目の再生ヘッドにつなぎ、音をループさせていく方法は、のちにFrippertronicsと呼ばれるようになった。
Frippが担当するのはギターとFrippertronics、Enoが担当するのはキーボード、シンセサイザー、改造したRevox A77テープ・レコーダーを使ったサウンド・トリートメントだ。作品は基本的にインストゥルメンタルで、旋律を前に出すというより、テープの反復や残響、持続音の重なりを軸に組み立てられている。
ジャンル表記としてはElectronic、スタイルとしてはAmbientとExperimentalが当てられている。実際の作品でも、ギターのフレーズがテープで延々と循環し、その上にキーボードや処理音が重なる構成が目立つ。
デビュー作は1973年11月9日発売の『(No Pussyfooting)』だ。1972年9月と1973年8月4日から5日に録音された素材をまとめた作品で、約1年を挟んだ計3日間の録音で構成されている。
続く『Evening Star』は1974年から1975年にかけて録音され、1975年12月にIsland Recordsから発表された。こちらもFrippとEnoの役割分担がはっきりした作品で、テープ処理と持続音の扱いが前面に出ている。
その後は長い空白があり、2004年に『The Equatorial Stars』、2006年に『Beyond Even (1992–2006)』がリリースされた。さらに、1975年5月28日のパリ公演を収めたライブ盤が2011年に発表されている。
Fripp & Enoの仕事は、後のアンビエントや実験電子音楽の文脈で参照されることが多い。ギターをバンド演奏の前に置くのではなく、テープループの素材として扱うやり方は、当時としてはかなり独特だった。FrippのFrippertronicsは、このデュオの実践を通じて知られるようになった。
2015年にはRolling Stone誌の「史上最高のデュオ」ランキングで17位に選ばれている。FrippとEnoの組み合わせは、ロックの出身者同士が、演奏の主役をメロディやリフから音の処理へ移していった例として見ておくと整理しやすい。
Fripp & Enoは、ロックの演奏技術とテープ実験をつなげたデュオとして見ておくとわかりやすい。作品数は多くないが、活動のたびに記録された音源が、そのまま彼らの方法そのものを示している。