Vinyl Record Reviews
Gwen McCrae(グウェン・マクレー)は、1943年12月21日にフロリダ州ペンサコーラで生まれたアメリカのソウル・シンガーだ。本名はGwendolyn Patricia Mosley。2025年2月21日に、81歳で亡くなった。
同じくソウル・シンガーのGeorge McCraeの元妻で、Leah McCraeの母でもある。名前は夫婦で並んで語られることも多いが、彼女自身の歌手としての活動も長く、ソウルやファンクの文脈でしっかり存在感を残している。
Gwen McCraeは7歳のころ、教会で歌い始めた。10代になると地元のグループで歌うようになり、早い段階から歌手としての経験を積んでいる。1963年にはGeorge McCraeと出会い、その後結婚した。
その後は、Betty Wrightの助けを受けてTKレコード系列のAlston Recordsと契約し、ソロ歌手としての活動を始める。初期には「Lead Me On」(1970年)や「Always on My Mind」(1972年)などを発表している。
彼女の代表曲としてよく挙げられるのが、1975年3月に発表された「Rockin' Chair」だ。この曲は全米Hot 100で9位、R&Bチャートで1位を記録した。ここで広く知られるようになった。
この曲は、George McCraeの「Rock Your Baby」と並べて語られることもある。ディスコの要素とメンフィス・ソウルの感触が交わったようなサウンドとして受け止められてきた。
1981年には「Funky Sensation」を発表し、R&Bチャートで22位に入った。これが、アメリカでの最後の大きなヒットとして記録されている。
初期の録音は、ヨーロッパのノーザン・ソウル・シーンでも親しまれてきた。時代や地域をまたいで聴かれている点も、彼女の音源が持つ強さのひとつだ。
Gwen McCraeの歌は、ソウルを軸にしながらファンクやディスコの要素も取り込んでいる。特に70年代の録音では、リズムの前に出方と歌の運びがはっきりしていて、ダンスフロア向けの曲でも歌ものとしての芯がある。
「Rockin' Chair」や「Funky Sensation」を聴くと、ビートに乗りながらも、声の押し出しで曲を引っ張るタイプのシンガーだとわかる。感情を大きく振り回すというより、フレーズの置き方で曲を進めていく印象が強い。
彼女のヴォーカルは、その後ヒップホップやダンス・ミュージックのアーティストにサンプリングされてきた。こうした使われ方を通じて、オリジナルの録音が新しい世代にも届いている。
ソウルやファンクのリスナーにとっては、70年代のヒット曲だけでなく、サンプリング元として彼女の声に触れる機会も多い。そうした広がりも含めて、Gwen McCraeは長く参照されている存在だ。
Gwen McCraeは、ソウルの歌い手としての基礎を持ちながら、70年代のダンス・ミュージックとも接点を作ったシンガーだ。代表曲を押さえるだけでも、その活動の流れが見えやすい。