Vinyl Record Reviews
Hazeは、1969年にスイスのビール(ビエンヌ)で結成されたハードロック・バンドだ。メンバーはChristian Scherler(vo)、Heinz Schwab(lead guitar)、Hans-Jürg Frei(guitar, organ)、Dietmar Löw(bass)、Kurt Frei(drums)で構成されていた。
1970年代初頭に地元でライブ活動を重ね、地方紙でも取り上げられながら、ヘヴィなサイケデリック・ロックやブルースの要素を含むサウンドを固めていった。バンドは1972年に解散している。
Hazeの唯一のアルバムは『Hazecolor Dia』だ。1971年4月にクラークス・スタジオで録音され、同年10月にドイツのバチルス・レコードから発売された。プロデュースはハウケ&ディルクスが担当している。
この作品は、LPサイズの透明スリーブを使った独特のパッケージでも知られている。バチルスが、当時の「ダイア(スライド写真)」を思わせる見せ方で送り出した点は、作品の存在感を強めている。
『Hazecolor Dia』は、Psychedelic Rock、Krautrock、Hard Rockの要素が重なる内容になっている。全5曲はベーシストのDietmar Löwが作曲を手がけた。
サウンドの中心は、Heinz Schwabのリードギターと、Hans-Jürg Freiのギター兼オルガンの絡みだ。Schwabは鋭い単音のソロと厚みのあるフレージングを行き来し、Freiのオルガンが曲の展開に変化を付けている。そこに個性的なヴォーカルと、リズム隊の重さが加わる形だ。
地元でのライブ活動を通じて作り上げた演奏感と、ドイツ語圏の初期クラウトロックに近い感触が、このバンドの特徴として挙げられている。
Hazeを追うなら、まずはギターとオルガンの組み合わせに注目したい。ハードロックの骨格の上で、サイケデリックな展開とクラウトロック寄りの流れが入ってくるので、70年代初期の欧州ロックの空気がそのまま残っている。
1枚だけ残したアルバムでありながら、演奏の組み立てや録音時期の背景まで含めて見ると、当時のスイス周辺のハードロックの一角を知る手がかりになるバンドだ。