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Heartは、1967年にシアトルで結成されたロック・バンドだ。前身は「The Army」で、その後にWhite Heart、Hocus Pocusと改名を重ね、1972年に現在のHeartという名前になった。中心にいるのはアン・ウィルソンとナンシー・ウィルソンの姉妹で、ハード・ロックを軸にしながらフォーク・ロックの要素も取り込んできた。
出発点では、ベーシストのSteve Fossen、ギタリストのRoger Fisher、Don Wilhelm、ドラマーのRay Schaeferらがバンドを組んでいた。1970年にアン・ウィルソンがリード・ヴォーカルとして加入し、1974年にはナンシー・ウィルソンがオーディションを経て参加する。ここから姉妹を中心とした編成が固まっていく。
1975年のデビュー作『Dreamboat Annie』で「Magic Man」「Crazy on You」がヒットし、バンドの名前が広く知られるようになった。続く1977年の『Little Queen』では「Barracuda」が注目を集める。この曲は、当時の音楽業界でアンが受けた中傷的な発言への反発から書かれたとされている。
Heartの音楽は、ハード・ロックの骨格にフォーク・ロックの要素を混ぜた形で語られることが多い。ギター主体のアレンジに、アン・ウィルソンの強い歌唱が乗る形が基本にある。ナンシー・ウィルソンはギターとコーラスでバンドの音像を支えてきた。
代表曲の「Magic Man」「Crazy on You」「Barracuda」には、リフを前に出した構成や、曲の展開をはっきり作る手つきが見える。アコースティックな要素を含む曲もあり、ハードな曲だけで押し切るタイプではない。
Heartは、女性がフロントで率いるハード・ロック・バンドとして早い時期から存在感を持っていた。アンとナンシーの姉妹が中心にいる構図は、当時のロック・シーンでは目立つものだった。性差別への反発が「Barracuda」の背景にあることも、バンドの文脈を考えるうえで外せない。
全世界での売上は3500万枚を超えるとされていて、商業的にも大きな足跡を残している。2013年にはウィルソン姉妹がロックの殿堂入りを果たした。
Heartには、時期によって多くのメンバーが参加してきた。資料にはGilby Clarke、Fernando Saunders、Darian Sahanaja、Craig Bartock、Denny Fongheiser、Mike Inez、Howard Leese、Roger Fisher、Steve Fossen、Denny Carmassiなど、さまざまな名前が並ぶ。現在もアン・ウィルソン、ナンシー・ウィルソンを軸に活動が続いている。
Heartを追うなら、まずは初期のヒット曲とアルバムから入ると、ハード・ロックとフォーク・ロックの両方がどうつながっているかが見えやすい。姉妹を中心にした編成、シーンでの立ち位置、そして曲ごとの作り込みが、このバンドの基本になっている。