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J・A・シーザーは、1948年10月6日生まれ、宮崎県出身の作曲家、劇作家、演出家、劇団主宰者だ。ウェブ上の情報では本名は寺原孝明で、静岡県育ちとされている。音楽面では、寺山修司の劇団「天井桟敷」との仕事で知られていて、1970年に同劇団へ参加してから、舞台音楽と演出を担った。
シーザーの活動歴でまず押さえたいのは、寺山修司との共同作業だ。1969年に寺山主宰の劇団「天井桟敷」に入団し、以後は舞台の音楽と演出を担当した。寺山の死後、1983年からは自らの劇団「演劇実験室◎万有引力」を立ち上げ、演劇制作を続けている。
この流れを見ると、シーザーは単に舞台に音楽を付ける人というより、演劇そのものの構成に深く関わるタイプの音楽家として活動してきたことが分かる。音楽と芝居を切り分けずに扱う姿勢が、長いキャリアの軸になっている。
シーザーの音楽は、ジャンル表記ではRock、Stage & Screen、スタイルではPsychedelic Rock、Soundtrackに分類されている。実際の作品では、舞台の場面転換や台詞の流れに合わせた楽曲が多く、通常のロック作品とは作り方が異なる。
特に知られているのが、1997年放送のテレビアニメ『少女革命ウテナ』の音楽だ。決闘シーンで使われる「絶対運命黙示録」などのコーラス曲は、単旋律を基調にしながら内声部にわずかなホモフォニーを混ぜ、旋律に移調されたエオリア旋法を使う作りになっている。こうした手法は、シーザーの作曲の癖として紹介されることが多い。
天井桟敷や万有引力での活動に加えて、シーザーの名前が広い層に届いたきっかけのひとつが『少女革命ウテナ』だ。とくに決闘コーラス曲は、アニメの映像と一緒に強く記憶されやすく、作品の印象を決める要素になっている。
ミカゲとの決闘曲以降は、制作を完全に自身が主導し、自分の劇団メンバーを起用して録音したとされている。舞台音楽の方法をそのままアニメへ持ち込んだわけではなく、演劇で培った編成や合唱の作り方を、映像作品の文脈に合わせて使っている点が特徴的だ。
シーザーを語るうえで、寺山修司との関係は外せない。寺山というアングラ演劇の中心人物と組んだことで、前衛的な舞台音楽の仕事を積み上げていった。その後も、寺山の死を境に活動を終えるのではなく、自分の劇団を作って継続した点に、活動の一貫性がある。
こうした経歴をたどると、シーザーは演劇の現場から出発し、ロックやサウンドトラックの要素を取り込みながら、自分の作曲様式を保ち続けてきた音楽家として見えてくる。舞台、アニメ、劇団活動が別々の線で進んでいるのではなく、ひとつの流れの中でつながっている。
現在は、Wikipediaの項目や「演劇実験室◎万有引力」のサイト、YouTubeチャンネルなどから作品や活動の一部をたどることができる。初めて触れるなら、『少女革命ウテナ』の劇中音楽から入って、そこから天井桟敷や万有引力の舞台音楽へ進むと、シーザーの仕事の幅が見えやすい。
ロックの文脈でも、演劇音楽の文脈でも、J・A・シーザーはかなり独特な位置にいる。寺山修司との共同作業で築いた前衛的な舞台音楽と、その後の自主的な劇団活動、さらにアニメ音楽での広がりまで含めて見ると、ひとりの作曲家の仕事としてかなり層が厚い。