Vinyl Record Reviews
Kevin Rowlandは、1953年8月17日にイングランドのウォルバーハンプトンで生まれたシンガー/ソングライターだ。ロック、ポップ、ファンク/ソウルを軸に活動し、Pop Rock、Folk、New Wave、Soul、Rhythm & Bluesの要素を組み合わせた音楽で知られている。
Rowlandの活動でまず外せないのが、1978年にKevin Archerとともに結成したDexys Midnight Runnersだ。バンド名は、ノーザン・ソウルのクラブシーンで使われていたアンフェタミン「デキセドリン」に由来する。
Dexys Midnight Runnersは、アイリッシュ・フォークとノーザン・ソウルを混ぜたサウンドで注目を集めた。加えて、労働者階級的な服装や見た目も特徴で、結成初期はニューヨークの港湾労働者風の衣装、その後はダンガリーとバンダナ姿など、イメージを何度も更新している。メンバー構成を頻繁に変えたことでも知られている。
1980年の「Geno」は、ソウル歌手Geno Washingtonへのオマージュとして作られた曲だ。デビューアルバム『Searching for the Young Soul Rebels』からのシングルで、同年5月に全英チャート1位を記録した。
1982年の「Come On Eileen」は、Rowland、Jim Paterson、Billy Adamsの共作で、Dexys Midnight Runnersの代表曲として広く知られている。1982年の全英年間最大セールスシングルとなり、翌1983年4月には全米ビルボードHot 100でも1位を獲得した。
1999年にはソロアルバム『My Beauty』を発表している。この作品は、ジャケット写真でRowlandがドレスとストッキング、化粧姿で写っていたことでも話題になった。当時は批評面で厳しい反応も多かったが、近年はカルト的な評価を受けている。
本人はこのアルバムについて、薬物依存からの回復をテーマにした自伝的な作品だと説明している。
2012年にはDexys名義で27年ぶりとなる新作アルバム『One Day I'm Going to Soar』を発表した。こちらは概ね好評を得ている。
Kevin Rowlandは、ヒット曲の作り手としてだけでなく、バンドのコンセプトや見た目まで含めて作品を組み立ててきた人物だ。Dexys Midnight Runnersの初期から、ソウルとフォークの混ざった音作り、労働者階級の視点を感じさせる装い、そして時期ごとの大胆な変化が続いている。
代表曲を追うだけでも、Rowlandの活動の軸はかなり見えやすい。まずは「Geno」と「Come On Eileen」から入ると、彼の音楽の輪郭をつかみやすい。