Vinyl Record Reviews
M-Opusは、アイルランド出身のプログレッシブ・ロック/シンフォニック・ロック・バンド。中心人物はジョナサン・ケイシーで、マーク・グリスト、PJ・オコンネル、コリン・サリヴァン、ジェームズ・ダンとともに、2014年頃から本格的に活動を始めたとされている。
ウェブ上で確認できる情報では、ジョナサン・ケイシーは元David Cross Bandのメンバーで、キング・クリムゾンのデヴィッド・クロスとも活動歴がある。M-Opusはそのケイシーを軸に、複数のプレイヤーが関わる形で作品を発表してきた。
メンバー構成は作品ごとに変動している可能性もあるが、少なくとも公開情報では、上記の編成が活動初期の核になっている。
M-Opusの特徴は、70年代プログレの作法を現代に持ち込んでいる点にある。演奏面では、組曲的な構成、曲展開の多さ、シンフォニックなアレンジが目立つ。サウンドは現代の録音で作られているが、曲の作り方や雰囲気は70年代のプログレッシブ・ロックを意識して組み立てられている。
また、単に音だけを再現するのではなく、作品ごとに物語性を強く持たせている。ケルト神話やSFを題材にしたコンセプト性の高いアルバムが並んでいて、楽曲の流れとストーリーがつながる作りになっている。
M-Opusを語るうえで外せないのが、「実在のバンドでありながら架空の活動史を持つ」という設定だ。楽曲は現代に制作・録音されている一方で、各アルバムにはあえて過去の年代のリリース年が割り当てられている。
たとえば『At The Mercy Of Manannán』は1972年発表という設定で、ケルト神話の海神マナナーンをめぐる船乗りたちの航海を描く作品として組まれている。『ORIGINS』は1978年発表という設定で、俳優やゲスト・ミュージシャンも迎えたSF仕立てのコンセプト・アルバムになっている。
こうした作り方によって、M-Opusは「過去のプログレを再現するバンド」ではなく、「架空の70年代プログレのカタログを現代に構築するバンド」として見られている。
公開情報からは、キング・クリムゾン周辺のプログレ文脈や、70年代シンフォニック・ロックの影響が読み取れる。特にジョナサン・ケイシーの経歴を踏まえると、細かな演奏力やアンサンブル重視の姿勢は、かなりプログレ寄りの感覚で固められている。
一方で、M-Opusは懐古だけに寄っているわけではない。架空のディスコグラフィーという仕組みを使って、制作年代と作品の時代感をずらしながら聴かせる点が、このバンドの個性として際立っている。
公式サイトは https://www.m-opus.com/ で確認できる。プログレッシブ・ロックやシンフォニック・ロックの流れが好きな人なら、作品ごとの設定や構成も含めてチェックしやすいバンドだ。