Vinyl Record Reviews
Magnumは、サウザン・カリフォルニアを拠点に活動したファンク/ソウル・バンドだ。1974年に唯一のアルバム『Fully Loaded』を自主制作で発表している。リリース当時は商業的には大きな反応を得られず、地元シーンの外ではほとんど知られないまま終わったが、のちにレア・グルーヴやファンクのコレクターのあいだで評価が広がった。
バンドはカリフォルニア州サンペドロ湾周辺を拠点にしていた。中心メンバーは、マルチ・インストゥルメンタリストのMichael GreeneとベースのHarold Greeneの兄弟で、ここにKevin “Cornbread” Thorntonがギターとアレンジで加わり、Vince “Worm” Wormley、George “The Chain” Chaineyらが続いた。Thurron “Thorn” Malloryは結成から約6か月後に参加し、サックスと電気的なパーカッションを担当している。さらにLamont Payneがトランペットで加わり、ホーン・アンサンブルを形づくった。
地元では、ラジオ局KGFJ-AMの「Soul Search」コンペティションのハウス・バンドを務めたほか、フラットベッド・トラックで各地を回る「Soul Caravan」にも参加していた。リハーサルを自宅ガレージで行っていたことでも知られ、ComptonのThurron Malloryの実家での練習には大勢が集まり、警察が通りを閉鎖して人を散らしたという記録も残っている。
『Fully Loaded』は1974年のプライベート・プレス盤で、オリジナル盤の流通数はかなり少なかった。発売当時は広く流通せず、長く埋もれた存在だったが、後年になるとレア盤として中古市場で高値がつくようになった。2020年にはレコード・ストア・デイ企画でカラーヴァイナル仕様のリイシュー盤も出ている。こうした再発の動きからも、現在は同時代のサウザン・カリフォルニア・ファンクを伝える資料として扱われている。
Magnumの音は、ファンクを土台にしながら、ソウルとジャズの要素を重ねた作りになっている。プロフィールでは、R&Bとジャズを基盤に、ゆるさのあるファンクの上乗せをしていると説明されている。ホーン・セクションが入ることで音の厚みが出ていて、サックス、トランペット、トロンボーンに加えて、パーカッションやホイッスルまで使っているのが特徴だ。
Latinの色合いがある点も重要で、コンガやボンゴがリズムの中心に置かれている。ここにオルガン、ピアノ、ベース、ギターが絡み、単純な一発ファンクというより、反復するグルーヴの中で各楽器が少しずつ動く構成になっている。派手に押し切るというより、じわじわと引っ張るタイプの演奏が多い。
Magnumは活動期間こそ長くないが、『Fully Loaded』がレア・グルーヴ文脈で掘り起こされたことで、存在感が増している。オリジナル盤が少ないこともあって、コレクターのあいだでは早い段階から注目されてきた。現在では、サウザン・カリフォルニアのローカルなファンク・シーンを知るうえで外せない1枚として扱われることが多い。
活動の中心は1970年代前半の短い期間だったが、地元でのライブ活動、ラジオ局とのつながり、そして自主制作アルバムの流通の少なさが重なって、後年になってから評価が広がったバンドだ。ファンク、ソウル、ジャズ、ラテンの要素が同じ盤面に収まっている点で、今聴いても資料性の高いグループとして見ておきたい。