Vinyl Record Reviews
Pulsarは、1970年代初頭にフランス・リヨンで結成されたプログレッシヴ・ロック・バンドです。アンジュ、アトール、マグマと並べて語られることが多く、70年代フレンチ・プログレを代表する存在のひとつとして紹介されています。
バンドの音楽は、ロックを土台にした長尺曲、シンセサイザーやメロトロンの使用、フルートの導入などが特徴です。影響源としては、Pink Floyd、King Crimson、そしてGustav Mahlerのようなクラシック作曲家が挙げられています。
Pulsarは1974年に最初のアルバムを録音・発表しました。1975年にはメンバーの一人が脱退し、その後は新しいベーシストのMichel Massonを迎えて活動を続けています。
1970年代後半にはアルバムを重ね、1980年代初頭にはブルーノ・カルルッチ監督とともに、オーストリアの作家Peter Handkeの短編をもとにした音楽劇にも取り組んでいます。1989年には再結成し、アルバムをリリースしました。さらに2006年にも再編成され、プロデュースを受けた作品を発表しています。その後は新しいバンド・プロジェクトへつながっています。
初期の代表作としてよく挙げられるのは、1975年の『Pollen』、1976年の『The Strands of the Future』、1977年の『Halloween』です。ウェブ上の情報では、『Pollen』で注目を集め、『The Strands of the Future』でより作り込まれたサウンドへ進み、『Halloween』で評価をさらに広げたとされています。
特に『The Strands of the Future』と『Halloween』は、シンフォニック・プログレの文脈で語られることが多く、後年には『Halloween』がプログレッシヴ・ロックの名盤のひとつとして取り上げられています。
Pulsarの音楽は、派手な速弾きよりも、曲の構成や音色の積み重ねに重心があります。オルガン、シンセサイザー、メロトロン、フルート、サックスなどを使いながら、曲をゆっくり組み立てていくタイプのバンドです。
Pink Floydからは音の広がりや構築感、King Crimsonからはプログレらしい緊張感、Mahlerからはクラシック由来の重厚な書法を取り込んでいるとされます。フレンチ・プログレの中でも、こうした要素の組み合わせがはっきりしたバンドとして見られています。
初期から中心にいたのは、Gilbert Gandil、Victor Bosch、Jacques Roman、Philippe Roman、Michel Masson、Roland Richard、Louis Paralisといった面々です。編成は時期によって変わっていて、1970年代前半はオルガン、ドラム、ギター、ベースの基本形から始まり、その後はフルートやストリング・アンサンブル、シンセサイザーやメロトロンが加わっています。
1980年代以降は、キーボード、ドラム、ギター、フルート、サックスを軸にした編成で活動していました。
1974年から1989年までのアルバムは同じレーベルから出され、その後は別のフランスのレーベルが流通権を引き継いでいます。Pulsarは英語圏のレーベルと契約した最初のフランスのバンドとしても紹介されています。
また、2008年には『Halloween』がGoldmine Magazineのプログレッシヴ・ロック名盤リストに選ばれています。こうした点からも、フレンチ・プログレの重要バンドとして扱われていることがわかります。
Pulsarを聴くときは、曲の展開だけでなく、オルガンやメロトロンの入り方、フルートの使い方、リズムの置き方を追うと面白いです。歌メロだけで押すタイプではなく、楽器の重なりで曲を進める場面が多いので、アルバム単位で聴くと全体像がつかみやすいです。
70年代フレンチ・プログレの中でも、シンフォニックな方向に強く寄ったバンドとしてチェックしておきたい存在です。