Vinyl Record Reviews
Sly & Robbieは、ジャマイカ出身のリズムセクション/プロデューサー・デュオだ。メンバーはドラマーのSly DunbarことLowell Dunbarと、ベーシストのRobbie Shakespeare。1970年代半ばから活動を始め、レゲエとダブの現場で長く存在感を示してきた。
2人は1970年代半ば、Channel Oneスタジオのハウスバンドとして活動したThe Revolutionariesの仕事でも知られている。ここで、当時主流だった「ワン・ドロップ」に代わる、シンコペーションを強めた重いビート「ロッカーズ」を打ち出したとされる。1980年には自身のレーベルTaxi Recordsを設立し、第一弾となったGregory Isaacs「Soon Forward」はジャマイカのチャートで1位を記録した。
Sly & Robbieの仕事は、レゲエのリズムの作り方そのものに関わっている。1976年には「ロッカーズ」、1980年代初頭には「ラバダブ」サウンドの推進にも関わり、ドラムとベースの組み立てを更新していった。ダブの文脈でも重要で、リズムの反復や空間の使い方がはっきりした録音で知られる。
1981年のBlack Uhuru『Red』は、レゲエ史の重要作として扱われることが多い。Black Uhuruはこの作品をきっかけにIsland Recordsと契約し、世界的なレゲエ・バンドとして広く知られるようになった。さらにGrace Jonesの『Nightclubbing』では、レゲエの枠を超えてポップ/ロック市場にも関わっている。
その後もBob DylanやMick Jaggerなど、多くの大物アーティストの作品に参加した。Peter ToshやBunny Wailerといった初期レゲエの重要人物から、後年のヒップホップやポップまで、参加範囲はかなり広い。
2人が関わった録音は、原曲、リミックス、サンプリング使用を含めて20万曲以上ともいわれている。こうした数字からも、Sly & Robbieの演奏やプロダクションが、レゲエの外側にも広く使われてきたことがわかる。ジャマイカの音楽史だけでなく、録音物の中で繰り返し参照されてきたデュオだ。
Robbie Shakespeareは2021年12月8日にフロリダで死去し、Sly Dunbarも2026年1月に死去した。半世紀ほどにわたって、レゲエ、ダブ、ダンスホールの音作りに関わってきたコンビとして記憶されている。