Vinyl Record Reviews
Swans(スワンズ)は、1982年にニューヨークで結成されたロック・バンドだ。シンガー/ソングライター/マルチ楽器奏者のマイケル・ジラを中心に始まり、ノー・ウェイヴの周辺とゆるく結びつきながら活動を広げてきた。1982年から1997年まで活動し、その後2010年に再結成している。
初期のSwansは、非常に遅いテンポと重い音で知られる。叫ぶようなヴォーカル、歪んだベース、ツイン・ドラムの強い押し出しが前面に出ていて、ライヴ盤『Public Castration Is a Good Idea』はこの時期を知るうえで重要な作品として挙げられる。
スタジオ作品では『Filth』(1983年)や『Cop』(1984年)が代表的だ。どちらも破壊的な音像と、かなり直接的なディストピア感のある世界観で注目を集めた。
1980年代半ばにはジャーボがヴォーカルとして加わり、バンドの音の幅が広がった。マイケル・ジラの重い歌い方に、ジャーボの歌声が重なる形になり、音楽の印象も変わっていく。
双子アルバム『Greed』『Holy Money』ではテンポが上がり、ドラムマシンやサンプルの比重も少し増した。続く『Children of God』(1987年)では、宗教や精神性に触れるテーマが前面に出て、以前よりメロディのある、広がりのある作りへ移っていく。
Swansはノイズ・ロック、インダストリアル、ポストパンク、ポストロック、ネオフォークなどをまたぎながら活動してきた。ひとつの型に収まるより、作品ごとに音の組み立てや質感を変えていくところが大きな特徴だ。
関連性のあるバンドとしては、ソニック・ユースやジョイ・ディヴィジョンの名前が挙がることがある。後続世代では、ナイン・インチ・ネイルズやネウロシスなどへの影響も語られている。
Swansは1997年にいったん解散した。その後、2010年にマイケル・ジラがバンドを再結成している。再結成後はジャーボがメンバーに含まれておらず、以前の時期とは音の性格に違いが出ている。
再結成後の作品では、長尺の構成と反復を軸にした曲作りが目立つ。2012年の『The Seer』は約2時間に及ぶ大作として高く評価され、2014年の『To Be Kind』は米ビルボード200で37位、全英アルバムチャートで38位を記録している。
Swansを追うなら、まずは『Filth』『Cop』『Greed』『Holy Money』『Children of God』あたりを順に聴くと、初期から中期への変化がつかみやすい。再結成後の作品では『The Seer』と『To Be Kind』が大きな節目になっている。
長く活動しているバンドだが、時期ごとの音の違いがはっきりしているので、作品単位で聴くと整理しやすい。