Vinyl Record Reviews
The Average Disco Bandは、1970年代後半にレコードを残したディスコ/ラテン・ディスコ系のスタジオ・グループだ。活動の細かな経歴を追える資料は多くないが、確認できる作品は2枚ある。
1作目は『Music of the Beatles Goes Disco』で、1977年録音、1978年盤として扱われることもある。タイトルの通り、ビートルズの楽曲をディスコ・アレンジで聴かせる内容で、8曲を収録している。録音場所はニュージャージー州エングルウッド・クリフスのH & Lサウンド・スタジオと伝えられている。
2作目は1978年の『Stranded in a Latin Disco』。こちらはラテン色の強いディスコ/オーケストラ系の作品で、「Tico Tico」「Feelings」「Copacabana (At the Copa)」「Grease」など、既存曲のカヴァーを中心に構成されている。1作目にはインストゥルメンタルがなかったのに対し、この2作目にはインストゥルメンタル曲が入っている。
The Average Disco Bandの名前が示す通り、中心にあるのはディスコのリズムだ。そこにラテンの要素を重ねたのが『Stranded in a Latin Disco』で、コンガやサックス、フルート、クラリネットなどの編成が確認できる。
1作目ではビートルズ曲をディスコ化する方向性がはっきりしていて、既存のポップスを当時のダンス・ミュージックの文脈に置き換える作りになっている。2作目ではラテン色がより前に出ていて、カヴァー曲の選び方も含めて、ディスコとラテン音楽の接点を意識した内容になっている。
このグループは、オリジナル曲で大きく知られるタイプというより、既存曲をディスコやラテン・ディスコの形式に組み替えた作品で足跡を残している。ビートルズ曲のディスコ化、ラテン・ナンバーやポップスのカヴァー、そして編成に入ったパーカッションや管楽器が、その方向性をそのまま示している。
70年代後半のディスコ周辺では、こうしたカヴァー中心の企画盤やスタジオ・プロジェクトが数多く作られていて、The Average Disco Bandもその流れの中にある。作品数は多くないが、残された2枚を見るだけでも、当時のディスコがポップス、ラテン、オーケストラ編成と結びついていた様子が見えてくる。