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The Bandは、カナダとアメリカにまたがるルーツ・ロック・グループとして知られている。1960年代前半、Ronnie Hawkinsのバックバンド「The Hawks」として活動を始めたRobbie Robertson、Levon Helm、Garth Hudson、Rick Danko、Richard Manuelの5人を母体にしている。Hawkinsのもとを離れた後は、短期間「Levon and the Hawks」や「Canadian Squires」の名義も使い、1960年代後半に「The Band」として活動を固めた。
1965年にはBob Dylanのエレクトリック期のバックバンドに起用され、1966年のツアーを共にした。その後、ニューヨーク州ウッドストック近郊の民家「ビッグ・ピンク」でDylanと自宅録音セッションを重ね、この時期の音源は後に『The Basement Tapes』として知られるようになる。1968年にデビュー作『Music from Big Pink』を発表し、以後はThe Band名義で本格的に活動した。
1976年11月25日には、サンフランシスコのウィンターランドで解散ライブを開催した。ここにはBob Dylan、Eric Clapton、Van Morrisonらが参加し、その模様はMartin Scorseseのドキュメンタリー映画『The Last Waltz』に記録されている。1994年にはロックンロール・ホール・オブ・フェイムに殿堂入りしている。
The Bandの音楽は、Rockを軸にしたBlues Rock、Acoustic、Folk Rockの要素で成り立っている。初期の作品では、当時主流だったサイケデリック・ロックとは違う、土着的なロックサウンドが前面に出ていた。ギター、オルガン、ピアノ、ドラム、ベースの編成を中心に、曲によってはホーンやアコースティック楽器も使いながら、アメリカの地方音楽やゴスペル、R&Bの要素を取り込んでいる。
『Music from Big Pink』では、派手な演出よりも演奏の重なりや曲そのものの構成に重心がある。Robbie Robertsonのギター、Levon Helmの歌とドラム、Garth Hudsonのキーボード、Rick Dankoの低めの声、Richard Manuelのソウル寄りの歌い方が、それぞれの役割を持って曲に入っている。
The Bandは、後のアメリカーナやルーツ・ロックの流れに影響を与えたグループとして扱われることが多い。ロックを前に出しながら、カントリー、ブルース、フォークの要素を自然に混ぜた作り方は、後続のバンドやシンガーソングライターに参照されてきた。Bob Dylanとの共演や『The Last Waltz』の存在もあって、演奏力の高い伴奏バンドであると同時に、独自のバンド像を持つ存在として記録されている。
中心メンバーのうち、Richard Manuelは1986年に、Robbie Robertsonは2023年に、Levon Helmは2012年に、Rick Dankoは1999年に亡くなっている。Garth Hudsonは2025年に亡くなっている。こうした経歴も含めて、The Bandは1960年代後半のロック史を語るうえで外せないグループとして残っている。