Vinyl Record Reviews
The Benjamin Delaney Lionは、Adrian LewisとRoger Lathamの2人によるバンドだ。Wrekin Arts Societyの学生だった2人が、学校を出た直後の1970年1月か2月ごろから活動を始め、地元のフォーク・クラブで演奏した。特に、SwanseaのWind StreetにあったAdelphi pub内のBallads & Blues Clubでの出演が知られている。
彼らが残した録音は、唯一のLP『Satori』にまとまっている。1970年の夏、Wrekin Arts Societyがメンバーに資金を出し、その費用でこのアルバムが録音された。録音はわずか3時間のスタジオ・タイムで行われたとされ、十分なリハーサルがないまま一気に仕上げられた。
収録内容は、The Incredible String Bandの影響が強い構成だ。『Satori』にはISBの楽曲が4曲カヴァーとして入っていて、自作曲と組み合わさる形になっている。繊細なヴォーカル・ハーモニーを軸にした、ヒッピー・フォーク寄りの内容として扱われている。
制作時、2人はAレベル試験を控えていた。準備時間が限られていたため、カヴァー曲に頼る場面があったと伝えられている。録音物としての『Satori』には、友人たちが手がけた詩やイラストを収めた48ページの詩集が同梱されていた。参加した友人の中にはAdrian Lewis本人も含まれていた。
また、The Benjamin Delaney Lionというバンド名も印象的だ。Adrian Lewisがバス旅行中に友人と交わした会話の中で、建設現場の看板をきっかけにした言い間違いから生まれた名前だとされている。
『Satori』は長いあいだほとんど知られないままだったが、2015年にコンピレーション・アルバム『Dust on the Nettles』へ収録曲の1つが選ばれたことで再評価が進んだ。現在では、英国産サイケデリック・フォークの激レア盤として扱われている。現存が確認されているオリジナル盤はごく少数とされ、近年は高値で取引されることもある。
The Benjamin Delaney Lionは、活動期間の短さと録音物の少なさがそのまま記録として残ったバンドだ。『Satori』を軸に見ると、当時のフォーク・クラブ文化、The Incredible String Bandからの影響、そして限られた条件の中で作られた作品の輪郭が見えてくる。
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