Vinyl Record Reviews
The Davidは、1960年代半ばから後半にかけて活動したロサンゼルス、カリフォルニア州のサイケデリック・グループだ。メンバーはTim Harrison(ドラム)、Warren Hansen(ボーカル、キーボード)、Chuck Spieth(ベース)、Mark Bird(リードギター)で、もともとは「The Reasons」という名前で始まった。
バンド名をThe Davidに変えたのは、マネージャーの「ヒットを出すのはダビデとゴリアテの戦いのように難しい」という趣旨の発言がきっかけになっている。1960年代のロサンゼルス周辺のバンドらしく、ローカルな活動からレーベル契約へ進んでいった。
The Davidは1967年に20th Century Fox Recordsと契約し、デビュー・シングル「40 Miles / Bus Token」を発表した。「40 Miles」はカリフォルニア州ベーカーズフィールドのローカルチャートで19位を記録していて、地域的なヒットとして受け止められている。同年4月には「People Saying, People Seeing」もリリースしている。
その後、ギターのMike Butteが脱退し、バンドはVMC Recordsへ移籍した。1967年に出した唯一のアルバム『Another Day, Another Lifetime』では、ガレージ・ロック寄りの荒さに、Gene Pageによるオーケストラ・アレンジが加わっている。ここでバンドは、初期の勢いを残しつつ、編曲面で少し違う方向へ進んでいる。
1968年にもシングルを1枚発表したあと、バンドは1970年代初頭に解散している。
The Davidの音楽は、Psychedelic Rock、Pop Rock、Garage Rockを軸にしている。初期のシングルでは、ガレージ・ロックらしい直線的な演奏と、当時のサイケデリック・ロックに通じる音作りが見える。
アルバム『Another Day, Another Lifetime』では、その路線に加えて、Gene Pageのオーケストラ・アレンジが入る。これによって、単なるバンド・サウンドだけではなく、弦楽器や編曲の要素が前に出る構成になっている。Warren Hansenは制作の中で、エレクトリック・チェロに似た自作の実験楽器「plasmatar(プラズマター)」まで作っている。
代表曲としては、表題曲「Another Day, Another Lifetime」と「Sweet December」が挙げられている。
バンドは短い活動期間で解散したが、楽曲はその後コンピレーション盤に収録され、再評価が進んだ。2001年にはJamie Recordsからオリジナル・アルバムがCD再発されている。
活動当時は大きな全国的成功に結びつかなかったものの、シングルのローカルヒットや、オーケストラ・アレンジを取り入れたアルバムの内容から、1960年代後半のロサンゼルス周辺のロックの一面を残しているバンドとして扱われている。
The Davidは、活動期間そのものは長くないが、シングル、1枚のアルバム、そして後年の再発盤を通して名前が残っている。ガレージ・ロックの感触と、オーケストラを使った編曲の組み合わせが、このバンドの中心的な特徴として見て取れる。