Vinyl Record Reviews
The Ritchie Familyは、1970年代半ばに結成された女性ボーカル・グループだ。ジャンルはElectronic、Funk / Soulにまたがり、Boogie、Funk、Soul、Discoの要素を持つ。フィラデルフィアで出会ったCassandra Wooten、Gwen Oliver、Cheryl Mason Jacksの3人が中心メンバーとして知られている。
グループ名は、プロデューサーのRichie Romeの名前に「T」を足して付けられた。名前の由来は少し変則的だが、実際にグループの初期を形づくったのは、Romeを中心とする制作体制と、のちに前面に出ることになる3人のヴォーカルだった。
Wooten、Oliver、Mason Jacksの3人は、フィラデルフィアの舞台芸術学校で知り合った。その前に、WootenとOliverはHoney And The Beesに在籍していた時期がある。
デビュー作は、実際にはセッション・シンガーのThe Sweetheartsが歌唱を担当しており、Wooten、Oliver、Mason Jacksは録音には参加していない。先に曲が作られ、ヒットしたあとに、ツアーとライブでの見せ方を担う顔ぶれが必要になった、という流れだ。
3人は「Brazil」を歌うオーディションを受けて選ばれ、ここからThe Ritchie Familyとしての活動が始まった。「Brazil」は全米ビルボードHot 100で11位、ダンスチャートで1位を記録している。
2作目では、Richie RomeとJacques Moraliの共同プロデュース体制のもとで、Wooten、Oliver、Mason Jacksが正式メンバーとしてクレジットされた。MoraliはのちにVillage Peopleを手がけるプロデューサーで、The Ritchie Familyでもディスコ期のサウンドを前面に押し出している。
1976年の「The Best Disco in Town」は、ディスコ/ダンスチャートで1位を獲得し、ソウルチャートやポップチャートでも上位に入った。グループの中でも特に知られた曲だ。電子的な打ち込み感よりも、ディスコのリズム、ファンキーなベースライン、厚みのあるコーラスを軸にした作りが目立つ。
そのほかにも、ダンスフロア向けの長めの展開、反復するフック、複数のメンバーで支えるボーカル構成が特徴として挙げられる。スタジオ録音とライブでの編成が一致しない時期もあったが、結果として「曲の強さ」と「踊れる構成」が前に出たグループとして受け止められてきた。
1977年にRichie Romeが離れたあと、Jacques Moraliが主導権を握った。レーベルも20th Century RecordsからMarlin Recordsへ移り、メンバー交代を重ねながら活動を続けていく。
この時期のラインナップには、Ednah Holt、Theodosia "Dodie" Draher、Jacqui Smith-Lee、後にVera Brown、Linda Jamesらが加わった。グループは固定メンバー制というより、時期ごとに編成が変わる形で動いていた。
1980年には映画『Can't Stop the Music』でVillage Peopleと共演し、サウンドトラックにも参加している。ディスコ期の周辺で、制作陣と出演者のネットワークが重なっていたことが分かる動きだ。
その後も活動は続き、RCA Records期にはさらにメンバー交代があった。グループ名を保ちながら、時代ごとの制作体制に合わせて形を変えていった。
2010年代には、Cassandra WootenとCheryl Mason-Dorman(旧名 Cheryl Mason-Jacks)を中心にオリジナル・ラインナップが再結成された。2016年にはBillboardのダンスチャートでトップ40ヒットを記録している。
2019年のインタビューでは、再結成の初期段階で別のメンバーが関わっていたことも語られている。その後、構成を調整しながら活動を続け、2020年末には新曲制作の案内も出た。2021年にはシングル「Whatcha Got?」のリリースが告知され、発売日は調整を経て6月28日まで延期された。
Gwen Oliverは後年、音楽活動から離れ、教会活動に関わる生活を送っていた。2020年11月27日に71歳で死去している。
The Ritchie Familyは、ディスコ黄金期の制作主導型グループとして整理しやすい。メンバーの入れ替わりは多いが、ダンスチャートで結果を残した曲が複数あり、ファンキーなリズムとコーラスを軸にしたディスコ・サウンドで知られている。
また、デビュー時の録音とステージ上の顔ぶれが一致していなかった点も、このグループを語るうえで外しにくい。スタジオ制作とライブ活動の分業がはっきりしていた時期のディスコ・グループとして、当時の音楽産業の仕組みも映している。
ディスコを軸にした1970年代のヒット曲から、再結成後の2010年代のダンスチャート入りまで、The Ritchie Familyは長い時間をかけて活動を続けてきたグループだ。メンバーや制作体制は変わっても、踊れる曲を届ける方向は一貫している。