Vinyl Record Reviews
Vincent Galloは、1961年4月11日にアメリカ・ニューヨーク州バッファローで生まれたアクター、作家、監督、そしてミュージシャンだ。音楽面では、1960年代末から70年代のロックや前衛音楽に影響を受けながら活動を始めている。
10代前半からガレージバンドでギターを弾き始め、電子音楽、アヴァンギャルド、実験音楽、プログレッシブ・ロック、プロト・パンク系のバンドに関心を深めていった。バッファローではBlue Mood、Zephyr、Plasticsといったあまり知られていないグループで演奏している。
16歳でニューヨークへ移ると、1979年にはGrayを共同結成した。Grayは、のちに画家として知られるジャン=ミシェル・バスキアと、フィルムメイカーのマイケル・ホルマンが中心になったプロジェクトで、当時のダウンタウンNYのノー・ウェイヴ・ムーヴメントの中で活動していた。CBGB、Max's Kansas City、Mudd Clubなどでライブを行っていたことが知られている。
Grayののちも、Galloは音楽活動を続けた。1982年にはBohack名義でアルバムを発表し、80年代前半にはTrouble Deuce and Coceというラップ・デュオも組んでいる。
その後は映画の仕事に比重を移し、俳優、監督、作曲家として活動するようになる。音楽面ではいったん表舞台から距離を置いたが、映画作品の中では自作曲を使い続けている。
1998年の監督作『Buffalo 66』で再び注目を集めた。この作品のサウンドトラックには、自身のオリジナル曲が複数使われている。翌1999年には、ギタリストのLukas HaasとBunny名義でソニー向けの録音を行い、Yesのプロデューサーとして知られるEddie Offordが制作を担当した。ただし、このプロジェクトは日本ツアー後に解消され、アルバムの正式リリースには至っていない。
その後、ロサンゼルスの自宅スタジオでソロ・デモの制作を進め、Warp Recordsから2001年に『When and the So Ad EP』、2002年に『Recordings Of Music For Film』を発表した。どちらも映画音楽との接点が強い作品として扱われている。
2007年にはEric ErlandsonとともにRRIICCEEを結成している。関連サイトでもこの名義の活動が確認できる。さらに2025年には、Harper SimonとともにButterfly名義の録音を制作し、エンジニア、ミックスも担当した。
Vincent Galloの音楽は、フォーク、ワールド、カントリーの枠に置かれながら、実際にはノー・ウェイヴ、プロト・パンク、実験音楽、電子音楽の影響が強く見える。初期のGrayでは、バスキアがシンセサイザー、クラリネット、ドラム、ギターを担当しており、楽曲の作りもロックの定型から外れたものだった。
ソロ以降も、映画音楽として使われることを意識した録音や、デモを起点にした制作が目立つ。ロックバンドの文脈だけでなく、映像作品との距離感を保ちながら音楽を扱ってきた点が、この人の活動を追ううえで分かりやすいところだ。