Vinyl Record Reviews
Yelloは、1979年にスイスのチューリヒで結成されたエレクトロニック・バンドだ。ジャンルはElectronic、Pop、スタイルはSynth-pop、Electroに分類されている。メンバーはDieter Meier、Carlos Peron、Boris Blankで、Carlos Peronは1983年に脱退している。
中心人物のDieter Meierは、Yello加入以前からチューリヒの前衛芸術シーンで知られていた人物だ。裕福な銀行家の父を持ち、大学在学中から資産を持っていたMeierは、法学を中退した後、プロのギャンブラーとして生計を立てていた。その一方で、1969年にはチューリヒの広場で10万個の金属片を数えて袋詰めするという行為をコンセプチュアル・アートとして発表している。
1972年のドクメンタ5に合わせて、カッセルの駅前広場に「1994年3月23日午後3時から4時まで、Dieter Meierはこのプレートの上に立つ」と刻んだ記念プレートを設置した作品も知られている。実際に1994年3月23日、Meierはその場所に現れて作品を完成させた。
こうしたMeierと、後にサウンド面を担うBoris Blankが1979年にYelloを結成した。最初はボーカルがいなかったため、BlankがMeierに歌唱を依頼し、それが正式加入のきっかけになったとされている。
Yelloの音作りでは、Boris Blankの役割が大きい。Blankは緻密なサウンド・コラージュを手がけることで知られ、「テクノのゴッドファーザーの一人」と評されることもある。シンセサイザーを軸にした音像の中に、細かく組み立てられたリズムや効果音が入ってくるのが、このグループの分かりやすい特徴だ。
一方でMeierは、前衛芸術の経歴を持つ人物らしく、歌唱だけでなく視覚的な感覚も含めた存在感をバンドに持ち込んでいる。電子音主体の制作と、Meierの声や語りに近い歌い回しが組み合わさって、Yello独特の聴感ができている。
1985年のシングル「Oh Yeah」は、Yelloを広く知られる存在にした楽曲のひとつだ。映画『フェリスはある朝突然に』で使われたことをきっかけに、アメリカのラジオで広く流れるようになった。その後も『The Secret of My Success』や『ザ・シンプソンズ』のDuffmanのテーマ曲など、さまざまなポップカルチャー作品で使われている。
この曲のように、Yelloはアルバムやシングル単位の活動だけでなく、映像作品との結びつきでも知られている。楽曲が映画やテレビ番組に入り、そのまま印象的な場面を支える形で定着していった。