Adele - 21 (2011)
Adele 2011

Adele - 21 (2011)

Pop Jazz Blues Funk / Soul Acoustic Neo Soul Piano Blues

Adele『21』──失恋の痛みを、ソウルとポップの芯で受け止めた2011年作

Adeleの2作目となる『21』は、2011年にXL Recordingsからリリースされたアルバムで、彼女の存在を一気に世界規模へ押し上げた代表作として知られている。前作『19』で見せた若い視点の歌と比べると、この作品では感情の整理がつかないまま残る傷、そこから立ち上がろうとする姿が、よりはっきりした輪郭で刻まれている。ジャズ、ファンク/ソウル、ブルース、ポップといった要素をまたぎながらも、中心にあるのはAdeleの歌声そのもの。大きな装飾に頼らず、声の圧とフレーズの運びで曲を引っ張る作りになっている。

作品の位置づけ

『21』は、Adeleにとって決定的な転機になったアルバムだ。英国出身のシンガーソングライターとしてすでに評価を得ていた段階から、この作品で“時代を代表する歌い手”としての認知が広がった。2010年代を通じて彼女の名がポップの文脈だけでなく、ソウルやR&Bの再解釈という流れでも語られるようになった背景には、このアルバムの大きな成功がある。

制作にはRick Rubin、Paul Epworth、Jim Abbiss、Dan Wilsonらが参加し、Adele自身の共作が軸になっている。収録11曲のうち10曲がオリジナルで、The Cureの「Lovesong」をカバーとして挟む構成。録音はロンドンだけでなく、コロラド、マリブ、デンバーなど複数の場所で行われており、曲ごとに空気の質感が少しずつ違うのも聴きどころになっている。

代表曲とアルバムの流れ

この作品を語るうえで外せないのが「Rolling in the Deep」だ。リズムの立ち上がりがはっきりしていて、Adeleの歌が前に出るだけでなく、コーラスの重なりや手拍子の感触まで含めて、曲全体の推進力になっている。「Someone Like You」では一転して、声とピアノの距離が近く、歌詞の中の未整理な感情がそのまま残る。派手な展開を置かず、言葉の重さで最後まで引っ張る作りが印象に残る。

そのほかにも、ブルース寄りの響きやゴスペル的な広がりを感じる場面があり、単なる失恋ソングの集まりでは終わっていない。曲ごとの温度差が大きいのに、アルバム全体としては一本の感情線でまとまっているところに、『21』の強さがある。The Cureの「Lovesong」を取り上げた選曲も、オリジナル曲の世界観と無理なくつながっていて、Adeleの歌唱がカバーを自分の言葉に引き寄せている。

オリジナル盤としての2011年プレス

この盤は2011年のヨーロッパ盤で、XL Recordingsのカタログ番号はXLLP 520。内袋はカードボード仕様で、Adele本人からのクレジットメッセージも収録されている。レコードとしては、ジャケットや印刷物の情報も含めて、作品の熱量をそのまま閉じ込めたような作りだ。盤のランアウトにはエッチングとスタンピングが混在しており、細部まで当時のプレス事情が残っている。

オリジナルの『21』は、のちの再発盤や各種フォーマットで広く流通する作品になったが、この2011年盤は、作品が世に出た当時の空気をそのまま持っている点が大きい。大きなヒット曲を抱えながらも、アルバム全体はシングルの寄せ集めではなく、ひとつの物語として聴ける。その点で、Adeleのキャリアの中でも、そして2010年代のポップ/ソウルの流れの中でも、かなり重要な位置にある作品と言える。

評価と反響

批評面でも好意的に受け止められ、Metacriticでは76点、34件のレビューで「概して好意的」とされている。商業的にはさらに強く、英国では長期にわたって1位を記録し、米国でも年間トップクラスのセールスを残した。2012年のグラミー賞では最優秀アルバム賞を受賞し、「Rolling in the Deep」も主要部門を含めて高く評価された。こうした実績が示す通り、『21』は一過性のヒット作というより、Adeleの歌唱力と楽曲の強度が同時に広く共有されたアルバムとして記憶されている。

同時代のソウル/ポップ作品の中でも、『21』は声の存在感を前面に置く作りが際立っている。派手なプロダクションで押し切るのではなく、曲の構造と歌詞の重み、そしてAdeleの低めの声質が、そのまま作品の中心になっている。2011年という時点で、こうしたアプローチがこれだけ大きな支持を集めたこと自体が、このアルバムの特別さを物語っている。

トラックリスト

  1. A1 Rolling In The Deep 3:46
  2. A2 Rumour Has It 3:39
  3. A3 Turning Tables 4:06
  4. A4 Don't You Remember 4:00
  5. A5 Set Fire To The Rain 3:58
  6. A6 He Won't Go 4:30
  7. B1 Take It All 3:44
  8. B2 I'll Be Waiting 3:56
  9. B3 One And Only 5:45
  10. B4 Lovesong 5:12
  11. B5 Someone Like You 4:40

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