Almendra - Almendra (1970)
Almendra 1970

Almendra - Almendra (1970)

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Almendra『Almendra』について

アルゼンチンのロック史を語るとき、Almendraのデビュー作『Almendra』は外せない1枚です。バンドはブエノスアイレスで結成され、中心にいたのはルイス・アルベルト・スピネッタ。1960年代後半のアルゼンチン・ロックが、カバー中心のビート音楽から、自作曲とスペイン語詞を軸にした表現へ移っていく流れの中で、この作品は重要な位置を占めています。1970年1月15日発売のオリジナル盤は、後のアルゼンチン・ロックに大きな影響を残した作品として扱われてきました。

2015年盤はその再発で、180g仕様のアナログ盤。クレジット上はソニー・ミュージック系の流通で、盤はチェコ製となっています。オリジナル盤と比べると、当然ながら当時の初版特有の空気感や時代の物理的な質感は異なりますが、収録内容そのものはこのアルバムの核をそのまま伝える再発です。初期プレスを探すタイプの作品というより、内容をきちんと聴き直すための再登場盤として見るのが自然です。

作品の性格

このアルバムは、のちのプログレッシブ・ロックやフォーク・ロック、サイケデリック・ロック、バロック・ポップの文脈でも語られますが、単純にジャンルを並べて片づけられる作品ではありません。演奏はロックの基本形を持ちながら、曲ごとに和声の運びやメロディの置き方が独特で、英米ロックの模倣に留まらない点が印象に残ります。スペイン語の響きが前面に出ていることも大きく、言葉の粒立ちが音楽の骨格にそのまま乗っている感じがある。

スピネッタの歌い方は、後年のソロ作ほど洗練され切ってはいないものの、すでに語り口の強さがある。ギター、ベース、ドラムの編成はシンプルでも、曲の中で空気の切り替えが細かく、展開の置き方に若いバンドらしい集中が見える。派手な技巧で押すタイプではなく、曲そのものの組み立てで聴かせる作り。

当時の位置づけ

Almendraにとって本作は、最初の到達点であり、同時に短い活動期の中で最も広く知られる入口でもあります。のちにバンドは『Almendra II』へ進みますが、デビュー作のほうが「アルゼンチン・ロックの方向を変えた1枚」として引用される場面は多い。若い世代のミュージシャンに刺激を与えた作品として扱われ、商業的なヒットの数字よりも、文化的な意味合いのほうが強く残っています。

収録曲では、シングルとして先に世に出た「Tema de Pototo / El Mundo Entre las Manos」や「Hoy Todo Hielo la Ciudad / Campos Verdes」「Tema de Pototo / Final」など、バンド初期を支えた楽曲群が重要です。とくに「Tema de Pototo」は、のちにAlmendraを象徴する曲のひとつとして見られてきました。楽曲の持つ親密さと、当時としては新しい書き方の両方が、このバンドの個性をよく示しています。

同時代の文脈

この時期のアルゼンチン・ロックは、Los GatosやTanguito周辺の動きと並んで形成されていきましたが、Almendraはその中でも特に文学性の強い側に位置します。英米のサイケやアート・ロックの影響を感じさせつつ、結果としてはブエノスアイレスの都市感覚と、スペイン語の歌詞表現を前に押し出した点が大きい。後のPescado RabiosoやAquelarre、Color Humanoなどへつながるメンバーの歩みを見ても、このデビュー作が出発点だったことははっきりしている。

アルバムは当時、好意的に受け止められ、後年の回想でも「売れたかどうか」より「何を変えたか」で語られることが多い。実際、この1枚の後に続くアルゼンチン・ロックの流れを考えると、単なるデビュー盤ではなく、シーンの基準を一段引き上げた作品として見えてくる。

再発盤としての聴きどころ

2015年盤は、オリジナル初版の歴史的価値とは別に、180g盤として音を落ち着いて聴き直せるのが利点です。特にこのアルバムは、曲の輪郭やボーカルの置き方、ギターのフレーズの間合いに耳が向きやすいので、再発盤でも作品の骨格が十分に伝わります。派手なリマスター感を前面に出すタイプではなく、曲そのものの構造を確認するように聴ける盤。

Almendraのデビュー作は、アルゼンチン・ロックの初期を知るうえでの基本文献のような存在です。スピネッタの出発点であり、バンドの短い活動期の中でも特に重みのある1枚。後に続く数多くのアルゼンチン・ロック作品を考えると、このアルバムが置いた土台の大きさが見えてきます。

トラックリスト

  1. A1 Muchacha (Ojos De Papel)
  2. A2 Color Humano
  3. A3 Figuración
  4. A4 Ana No Duerme
  5. B1 Fermin
  6. B2 Plegaria Para Un Niño Dormido
  7. B3 A Estos Hombres Tristes
  8. B4 Que El Viento Borro Tus Manos
  9. B5 Laura Va

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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