Birdsongs Of The Mesozoic - Faultline (1989)
Birdsongs Of The Mesozoic 1989

Birdsongs Of The Mesozoic - Faultline (1989)

Electronic Rock Prog Rock Alternative Rock Future Jazz

Birdsongs Of The Mesozoic『Faultline』について

Birdsongs Of The Mesozoicの『Faultline』は、1989年にUSのCuneiform Recordsから出た作品で、バンドの持ち味がかなりはっきり出た一枚だ。もともとこのグループは、Mission of BurmaのRoger MillerとMartin Swopeのサイドプロジェクトとして1980年に始まり、その後は独立した活動を続けてきた。インディー・ロックの背景を持ちながら、鍵盤や管楽器、変則的なアレンジを軸に、ロックと室内楽的な感覚を行き来するのがこのバンドの大きな特徴である。

『Faultline』が出た1989年は、Roger Millerが1987年に離れた後の編成が固まっていた時期にあたる。メンバーにはKen Field、Erik Lindgren、Rick Scott、Michael Bieryloらが名を連ね、初期の実験性を保ちながらも、演奏の輪郭がより整理された印象を受ける。Cuneiform Recordsという、プログレッシブ・ロックや現代ジャズ、Canterbury系の作品も多く扱うレーベルから出ている点も、この作品の立ち位置をよく示している。

バンドの流れの中での位置づけ

Birdsongs Of The Mesozoicは、Mission of Burma由来の緊張感を土台にしつつ、いわゆるギター中心のロックから少し距離を取ったところで独自性を築いてきたバンドだ。『Faultline』では、その出自が単なる前史ではなく、短いフレーズの反復や切り替えの速さ、推進力のある構成として残っているように感じられる。一方で、耳に入ってくる音の中心はギターではなく、鍵盤や木管、アンサンブル全体の動きにある。ロックのバンド編成でありながら、曲が進むにつれて組曲的な感触が前に出るのがこの作品の面白さだ。

同時代の文脈で見ると、オルタナティブ・ロックの周辺にいながら、プログレッシブ・ロックやフュージョン、室内楽的なアレンジの要素を自然に混ぜている点が特徴的だ。比較対象を挙げるなら、Canterbury系の知的な組み立てや、インディー・シーンの実験性を同じテーブルに置いたような感触がある。ただし、単純にどこかへ寄せているわけではなく、あくまでBirdsongs Of The Mesozoic独自の語法としてまとまっている。

サウンドの印象

実際に聴くと、まず目につくのは音数の多さよりも、音の置き方の細かさだ。リズムは前へ進むが、一直線に押し切るタイプではなく、途中で小さな段差や折り返しが入る。フレーズが重なったり、あえて空間を作ったりすることで、曲の輪郭が少しずつ組み上がっていく。派手な歌ものではないので、メロディの“抜け”を期待する作品でもないが、短いモチーフが何度も姿を変えるところに聴きどころがある。

また、この時期のBirdsongs Of The Mesozoicには、初期のラフな勢いよりも、アンサンブルの精度が前に出ている印象がある。演奏の密度は高いが、音が詰まりすぎているわけではなく、それぞれのパートが役割を保ったまま動いていく。ロックの推進力と、現代音楽寄りの組み立てが同居している感触である。

注目曲について

『Faultline』というタイトル曲は、この作品の性格を端的に示すような曲名だ。地殻の断層を思わせる言葉どおり、楽曲も安定した面と不安定な面が交互に現れるような作りに感じられる。リフや短いフレーズが積み重なりながら、途中で視点が切り替わるような展開があり、バンドのアンサンブル志向がよく出ている。派手な展開で押すというより、細かい構造の変化を追っていくタイプの曲だ。

この曲では、Birdsongs Of The Mesozoicがロック・バンドとしての推進力を保ちながら、同時にプログレッシブな構成感も失っていないことがわかる。1989年という時点で、こうした音作りをUSインディーの文脈から出している点は、このグループならではだろう。曲単体で聴いても、アルバム全体の中で聴いても、バンドの輪郭を示す中心的な一曲として機能している。

レーベルと時代背景

Cuneiform Recordsは、プログレッシブ・ロックや現代的なフュージョン、Canterbury系のアーティストを多く扱ってきたインディー・レーベルで、『Faultline』のような作品を出していることにも納得感がある。メジャーの市場感覚とは別のところで、演奏の複雑さや編成の独特さをそのまま受け止める土壌があったのだろう。Birdsongs Of The Mesozoicのようなバンドにとって、こうしたレーベル環境はかなり重要だったはずだ。

『Faultline』は、バンドの出自であるオルタナティブ・ロックの緊張感を残しつつ、より構築的な方向へ進んだ時期の記録として聴ける。Mission of Burma周辺から始まった流れが、そのまま別の音楽語法へ展開していく途中の作品、と見ることもできる。派手に時代を代表するタイプではないが、Birdsongs Of The Mesozoicというバンドの個性がよく見える一枚である。

トラックリスト

  1. A1 The True Wheelbase 2:59
  2. A2 They Walk Among Us 3:35
  3. A3 Coco Boudakian 5:47
  4. A4 I Don't Need No Crystal Ball 3:20
  5. A5 Chariots Of Fire 2:46
  6. B1 Faultline 4:41
  7. B2 On The Street Where You Live 4:05
  8. B3 Maybe I Will 6:08
  9. B4 There Is No One 3:44
  10. B5 Slo-Boy 4:26

動画

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