Giorgio - Son Of My Father (1972)
Giorgio Moroder 1972

Giorgio - Son Of My Father (1972)

Electronic Rock Pop Pop Rock Bubblegum

Giorgio『Son Of My Father』について

GiorgioことGiorgio Moroderの『Son Of My Father』は、1972年の初期ソロ期を代表する一枚として位置づけられる作品だ。のちに“ダンス・ミュージックの父”と呼ばれる彼だが、この時点ではまだディスコの大成功以前で、電子音をポップの中にどう組み込むかを探っていた時期にあたる。リリース国はドイツ、レーベルはHansa。盤としても1972年当時の空気をそのまま持った作品で、後年のモロダー像を先取りする内容になっている。

タイトル曲を軸にした初期のGiorgio像

タイトル曲「Son Of My Father」は、この作品を語るうえで中心になる楽曲だ。もともとGiorgio MoroderとMichael Holmの共作「Nachts scheint die Sonne」として先行形があり、英語詞にはPete Bellotteが関わったとされる。つまり、単独のヒット曲というより、欧州ポップの文脈の中で形を変えながら広がっていった曲でもある。

この曲で目立つのは、シンセサイザーを前に出した作りだ。後年のディスコ・プロダクションほど洗練され切ってはいないが、機械的な音色をポップソングの主役に据える発想はすでに明確で、Giorgioのその後の方向性をかなり早い段階で示している。実際、同時代のポップ・ロックやバブルガム・ポップの枠組みの中に、電子楽器の輪郭がくっきり入り込んでいるのがこの作品の特徴だ。

制作背景とアルバムの成り立ち

ライナーノートには、Pete BellotteがGiorgioから電話を受け、急いでアルバム制作を始めたというエピソードが記されている。そこでは、Giorgioがモーグ・シンセサイザー、ピアノ、ギター、パーカッション、ベースなどを持ち込み、数日間にわたって集中して制作した様子が語られている。こうした記述からは、当時の彼がすでに多彩な楽器を使いこなし、短期間でアイデアを形にするタイプの作家だったことがうかがえる。

アルバムには、映画やサウンドトラックに関連する曲も含まれている。たとえば「Tears」「Underdog」「Son Of My Father」は『Die Klosterschülerinnen』(1972)のサウンドトラックに関連し、「Automation」は『Oswalt Kolle: Liebe als Gesellschaftsspiel』(1972)に使われている。こうした点を見ると、この時期のGiorgioは単にシングルヒットを狙うポップ作家というより、映像作品や劇伴の領域とも行き来しながら、音の使い方を広げていたことがわかる。

サウンドの印象

この作品を通して聴くと、全体はロックとポップの骨格を持ちながら、ところどころで電子音が前景に出てくる。リズムは比較的素直で、歌モノとしてのわかりやすさが保たれている一方、シンセの使い方がかなり早い段階から個性になっている。のちの大規模なディスコ・サウンドに比べると編成はずっとシンプルだが、音の置き方にはすでにGiorgioらしい設計感がある。

「Tears」のようなインスト曲は、歌を外したぶんだけ音色の動きが見えやすい。後にDJ Shadowがサンプリングしたことでも知られており、こうした素材感のある音作りが、時代を超えて参照される理由にもなっている。「Shirocco - Es War Nur Ein Traum」が「Tears」の再構成版として扱われている点も、同じ素材を別の形で提示するこの時期の制作姿勢を示している。

同時代とのつながり

1972年の「Son Of My Father」は、英国ではChicory Tip版が1位になったことで知られるが、Giorgio版も同じ楽曲の初期形として重要な位置を持つ。こうした“同じ曲の別解釈”が並走したこと自体、当時のポップ市場の動き方をよく表している。Giorgioの版は、ヒット競争の結果だけでなく、シンセを前に出した初期形として後年見直されることになった。

この時期のGiorgioは、まだ後のDonna Summer作品のような巨大なダンス・プロダクションには至っていないが、電子音をポップに落とし込む発想はすでに固まりつつある。後の“Munich Sound”へつながる入口として聴くと、かなり重要な一枚だと感じる。ロック、ポップ、電子音楽がまだ今ほど分化していない時代の、試行錯誤の手触りが残る作品でもある。

まとめ

『Son Of My Father』は、Giorgio Moroderの初期キャリアを知るうえで外せない1972年作だ。タイトル曲の存在感、シンセサイザーを使った先駆性、サウンドトラックとの接続、そして短期間で仕上げたという制作エピソードまで含めて、後の大成功の前段階にある作品として見えてくる。ディスコ以前のGiorgio、あるいは電子音をポップの言葉に変え始めた瞬間、そのあたりがこのレコードの核になっている。

トラックリスト

  1. A1 Son Of My Father 3:42
  2. A2 Lord (Release Me) 3:41
  3. A3 That's How I See Her 3:13
  4. A4 Pauline 2:54
  5. A5 Automation 4:12
  6. B1 London Traffic 3:49
  7. B2 Underdog 3:53
  8. B3 Spanish Disaster 5:00
  9. B4 Watch Your Step 3:24
  10. B5 Tears 2:20

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