Latitude - 40° North (1987)
Latitude 1987

Latitude - 40° North (1987)

Electronic Folk, World, & Country New Age

Latitude『40° North』について

Latitudeの『40° North』は、1987年にLifestyleレーベルから発表されたアルバム。クレイグ・ペイトン(Craig Peyton)とベンジャミン・ヴェルデリー(Benjamin Verdery)によるデュオ作品で、ニューエイジを軸にしながら、電子音、ギター、ジャズ寄りの感触が自然に混ざる一枚として位置づけられる。レーベル側のプロフィールどおり、Lifestyleは1986年に始動した米・加のニューエイジ/電子音楽系レーベルで、この時期の空気をよく映したタイトルのひとつと言えそうだ。

盤の表記はUSA & Canada向けで、カナダ製造・印刷、米国とカナダで流通というクレジットが入る。1980年代後半のニューエイジ作品らしく、アナログ的な温度と当時のデジタル機材の質感が同居しているのがこの作品の大きな特徴。フェアライト CMI III、オーバーハイム X-pander、ヤマハ TX-81Zといった電子楽器に、クラシック・ギターやエレクトリック・ギター、ヴィブラフォンが重なる構成で、シーケンス主体のエレクトロニック作品とは少し違う、演奏の手触りが残るタイプのアルバムだ。

デュオの役割がはっきりした作品

クレイグ・ペイトンはフェアライトやオーバーハイム、TX-81Z、ヴィブラフォンを担当し、サウンドの骨格を作る側にいる。一方のベンジャミン・ヴェルデリーはクラシック・ギターとエレキギターで、旋律や和声の輪郭を支える。電子音が前に出ても冷たくなりすぎず、ギターが入っても過度にフォークへ寄りすぎない、その中間の着地点がこのアルバムの聴きどころになっている。ニューエイジ、アンビエント、シンセポップ、ジャズ・フュージョンといった要素が並ぶが、実際の印象はもっと整理されていて、音の配置を丁寧に聴かせる作り。

同時代の文脈で見ると、ECM周辺の室内楽的な静けさや、当時のニューエイジ作品に見られる瞑想性とは共通点がある一方、Latitudeは電子機材の比重がやや高い。とはいえ、いわゆる機械的なシンセ・アルバムではなく、弦楽器のフレーズや倍音の残り方に人の気配がある。そこが『40° North』の輪郭を作っている。

注目曲「Mombasa」

収録曲の中でも「Mombasa」は、ゲスト・ボーカルとしてYogi Leeが参加している点が目を引く。アルバム全体がインストゥルメンタル中心の流れを持つ中で、この曲は声の要素が入ることで、他の曲よりも明確なアクセントになっている。タイトルから受ける地理的なイメージもあって、作品内ではやや外向きの視点を持つ楽曲として機能しているように聴こえる。

実際に耳を向けると、ボーカルが前面で主張するというより、電子音とギターのレイヤーの中に溶け込む設計に近い。曲の性格を変えすぎずに、アルバムの中に別の質感を差し込む役割。こうした使い方は、1980年代後半のニューエイジ作品では珍しくないが、『40° North』ではその処理がかなり自然だ。

アルバムの流れと聴きどころ

『40° North』は、派手な展開や強いビートで押す作品ではない。むしろ、音色の切り替え、残響の長さ、ギターの入り方、シンセの重ね方といった細部で印象を作るタイプ。フェアライト由来の硬質さがあっても、全体は角ばらず、ヴィブラフォンやギターの響きが空間をやわらげる。ニューエイジ作品にありがちな一方向の安定感だけでなく、曲ごとに電子と生音の比率が少しずつ変わるため、アルバムとしての流れにも変化がある。

作品の位置づけとしては、Latitudeにとって1987年時点の代表的な到達点のひとつとして見られることが多い。ペイトンとヴェルデリーという異なる背景の奏者が、当時の最新機材とアコースティックな演奏感をどう接続するか、その答えを明快に示した一枚。1980年代ニューエイジの中でも、電子音だけに寄らず、室内楽的な感触を残した作品として記憶されやすいアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 Trust 6:23
  2. A2 Al Campo De Paco 6:07
  3. A3 She Slowly 5:30
  4. A4 There's A Hole In The Ozone 5:01
  5. B1 40° North 3:59
  6. B2 The Champ 5:19
  7. B3 Pilot 5:42
  8. B4 Partial Recall 4:43
  9. B5 Mombasa 5:11

動画

Share
記事一覧に戻る

あわせて聴きたい "New Age"

toast