Melvin Van Peebles - Sweet Sweetback's Baadasssss Song (An Opera) (1971)
Melvin Van Peebles 1971

Melvin Van Peebles - Sweet Sweetback's Baadasssss Song (An Opera) (1971)

Funk / Soul Stage & Screen Non-Music Soul Soundtrack Rhythm & Blues Dialogue Movie Effects

Melvin Van Peebles『Sweet Sweetback's Baadasssss Song (An Opera)』

1971年に登場した、映画監督・作家・音楽家のメルヴィン・ヴァン・ピーブルズ(Melvin Van Peebles)による映画『Sweet Sweetback's Baadasssss Song』のオリジナル・サウンドトラック盤。副題に「An Opera」を掲げ、作曲・構成を本人が手掛けた作品で、Stax RecordsのカタログSTS-3001としてリリースされた。映画の公開に先駆けて先行発売され、作品そのものを社会現象へと押し上げる役割を果たした画期的な1枚である。

制作背景・エピソード

ヴァン・ピーブルズは監督、脚本、製作、主演、音楽までを単独で務めた。伝統的な楽譜の読み書きを行わず、自らのハミングや語り、歌でメロディや構成を伝えながら楽曲を形にしていった。演奏陣には、当時デビュー直後でまだ全国的な知名度のなかった初期Earth, Wind & Fireが参加し、モーリス・ホワイト率いる編成が生々しく強靭なアンサンブルを支えた。ミュージシャンズ・ユニオン(音楽家組合)の規制を避けるため、クレジットを伏せた極秘セッションとして録音されたことも本作の特筆すべき背景である。

映画宣伝の予算が潤沢ではなかったため、ヴァン・ピーブルズはStax Recordsと組み、劇場公開より前にサウンドトラックをリリースするゲリラ的手法をとった。ラジオや街頭で先に音楽を浸透させ、映画本編への関心へとつなげる狙いは見事に奏功し、インディペンデント映画として空前の大ヒットを記録する起爆剤となった。

時代の文脈

1971年は、アイザック・ヘイズが音楽を手掛けた『Shaft(黒いジャガー)』の登場と並び、ブラックスプロイテーション映画とそのサウンドトラックがアメリカのカルチャー・シーンを席巻した記念すべき年である。ハリウッドの白人資本に一切頼らず完全自主制作で撮り上げられた本作は、腐敗した白人警察の暴力に反撃しながら逃走する黒人主人公の闘争を描き出した。ブラックパンサー党の創設者ヒューイ・P・ニュートンは「最初の真の革命的黒人映画」と激賞し、党員必見の映画として指定するなど、当時のブラック・パワー運動やカウンターカルチャーの象徴となった。

サウンドトラック盤はビルボードのTop R&B Albumsチャートで最高13位を記録。自主制作映画の関連作としては異例のチャート・アクションを見せ、サザン・ソウルの本拠地Staxの歴史においても鮮烈な足跡を残した。

後世への影響

映画のダイアログや効果音、過激なスポークン・ワード、土着的なゴスペル・クワイア、そして地を這うようなヘヴィ・ファンクをコラージュした本作は、後世のヒップホップ・プロデューサーたちにとって聖典的なサンプリング・ソースとなった。特に追手から逃れる足取りを歌った「Come On Feet」は、マッドリブ(Madlib)がQuasimoto名義の傑作『The Unseen』(2000年)で同名曲の主軸としてサンプリングしたことでクラブ・クラシックとしても再認識された。

さらにMain SourceやEric B. & Rakimをはじめとする数多くのヒップホップ作品で引用され、ブラック・シネマとビート・カルチャーをつなぐ原点として絶大な影響力を放ち続けている。

サウンドと聴きどころ

整然とした映画音楽の枠組みを根底から覆す、生々しく混沌とした前衛的「ブラック・オペラ」。「Come On Feet」や「Sweetback's Theme」での初期Earth, Wind & Fireによる獰猛なリズム・セクションと、ヴァン・ピーブルズの息もつかせぬスポークン・ボーカルが織りなすサウンドは、荒削りながらも凄まじい熱量を放つ。「Hoppin John」や「Mojo Woman」など、ブルースとゴスペルのルーツに根ざした猥雑で力強いブラック・ミュージックの断面が凝縮されている。

トラックリスト

  1. A1 Sweetback Losing His Cherry 2:45
  2. A2 Sweetback Getting It Uptight And Preaching It So Hard The Bourgeois Reggin Angels In Heaven Turn Around 5:00
  3. A3 Come On Feet 4:15
  4. A4 Sweetback's Theme 7:36
  5. B1a Hoppin John 2:25
  6. B1b Voices 0:11
  7. B2a Mojo Woman 2:43
  8. B2b Voices 0:15
  9. B3a Sanra Z 3:47
  10. B3b Voices 0:17
  11. B4a Reggin Hangin On In There As Best They Can 2:58
  12. B4b Voices 1:13
  13. B5 Wont Bleed Me 2:41
  14. B6 The Man Tries Running His Usual Game But Sweetback's Jones Is So Strong He Wastes The Hounds (Yeah! Yeah! And Besides That Will Be Coming Back Takin' Names & Collecting Dues) 4:25

動画プレイリスト

公開: 2026年10月

このアーティストについて

Melvin Van Peebles

Melvin Van Peebles

Melvin Van Peebles(メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ、1932年8月21日 - 2021年9月21日)は、アメリカ・シカゴ出身の映画監督、脚本家、俳優、劇作家...

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