Nu Genea - Bar Mediterraneo (2022)
Nu Genea 2022

Nu Genea - Bar Mediterraneo (2022)

Electronic Jazz Folk, World, & Country Funk / Soul Boogie Disco Jazz-Funk Canzone Napoletana Balearic

Nu Genea『Bar Mediterraneo』について

Nu Geneaの『Bar Mediterraneo』は、2022年にリリースされたアルバムで、ナポリを拠点に活動するデュオが、Nu Guinea名義からNu Geneaへ改名してから最初に発表した作品として位置づけられる。リリース元は自らのレーベルNG Recordsで、イタリア盤として登場した。制作の中心にいるのはLucio AquilinaとMassimo Di Lenaの2人で、バンドというよりも、このデュオの作家性が前面に出た作品と見てよさそうだ。

このアルバムは、電子音、ファンク、ディスコ、ジャズ、ワールド・ミュージックの要素を、ナポリという土地の感覚と結びつけた内容になっている。作品全体の発想としては、地中海の港町にある架空のバーを思わせる空気があり、異なる言語やリズムが自然に混ざる場面が多い。ナポリを起点にしながら、レバノン、エジプト、モロッコ、アルジェリアといった周辺地域の音楽的な気配へも視野を広げたアルバムとして語られている。

制作とサウンドの輪郭

クレジットに記された使用機材を見ると、Roland Jupiter 6、Roland Juno 60、Korg Sigma、Korg Lambda、Korg M1、Arp Omni、Yamaha DX100、Roland CR78、Linn 9000、Octave Catなど、アナログとデジタルのシンセが幅広く使われている。ここからも、単なるバンド録音ではなく、音色の設計そのものを重視した作品であることがわかる。録音はナポリとベルリンのあいだで行われたとされ、都市の距離感もこのアルバムの輪郭に反映されているように見える。

実際に聴くと、リズムは前に出るが、打ち込みだけで押し切る感じではない。ベースラインや鍵盤の動きが細かく、曲ごとにテンポ感の違いがはっきりしている。ディスコの推進力、ジャズ・ファンクの跳ね方、地中海音楽の旋律の運びが、1枚の中で切り替わるというより、同じ空間の中で重なっていく印象がある。音数は多めだが、各パートの役割は比較的見えやすく、輪郭のあるアンサンブルになっている。

収録曲にまつわる要素

収録曲の中では、「Vesuvio」に言及しておきたい。これはGruppo Operaio「E Zezi」の同名曲のカバーで、69° Circolo Didattico di Napoli “Stefano Barbuto” の Coro “69in .. Canto” が再解釈したものを取り入れている。ナポリの地域文化や合唱の要素がそのまま作品に組み込まれており、Nu Geneaが単に過去のイタリアン・ディスコやファンクを参照するだけでなく、土地に根ざした声の扱いまで含めて作品化していることがわかる。

また、「La Crisi」のテキストには、Raffaele Vivianiの同名詩の一節が使われている。こうした引用は、アルバムを単なるクラブ向けの音源ではなく、ナポリの言葉や記憶を現代のサウンドへ接続する試みとして読める部分だ。曲名だけでなく、言語やテキストの選び方にも土地との結びつきがある。

作品の位置づけ

Nu Geneaは、かつてNu Guinea名義で活動していたが、2021年に現在の名義へ変更している。『Bar Mediterraneo』はその改名後の最初のアルバムであり、ユニットの方向性を明確に示す一枚といえる。過去作で培ってきたファンク、ディスコ、ジャズ寄りの感覚を引き継ぎながら、より広い地中海圏の音楽的語彙へ踏み込んだ印象がある。

同時代の文脈で見ると、イタリアのディスコ再評価やバレアリック系の流れ、さらに地中海沿岸の音楽を横断的に扱う近年の作品群と並べて語られることが多いタイプだろう。ただし、単にレトロな引用に寄せるのではなく、ナポリの方言や合唱、シンセの質感、リズムの組み方まで含めて、かなり具体的な土地感を保っている点が特徴的だ。

リリース時の反応

2022年の発表時には、イタリアの音楽メディアを中心に評価が高かった。ファンク、アフロビート、ジャズ、地中海音楽をひとつの流れにまとめたクロスオーバー作品として受け止められ、完成度の高いアルバムとして扱われている。派手にヒットチャートを席巻したタイプではなく、クラブ・リスナーやレコード愛好家のあいだで強く支持された作品という見方がしっくりくる。

補足として、初回プレスは6000枚とされている。のちにVINYL版へ未発表曲「Praja Magia」が追加されたが、オリジナルの『Bar Mediterraneo』自体は2022年の時点でひとつのまとまりを持った作品として完結している。ナポリ発の現行ディスコ/ファンクの一つの到達点として、名前を挙げやすいアルバムだ。

全体として、『Bar Mediterraneo』は、Nu Geneaがナポリという出発点を保ちながら、地中海世界の複数の音楽文化を接続してみせた作品といえる。シンセの質感、合唱の使い方、リズムの運び、言葉の引用、そのどれもが作品のテーマと近い場所に置かれていて、アルバム全体の設計が見えやすい。2022年という年のイタリア発クラブ・ミュージックを語るうえでも、外せない一枚だろう。

トラックリスト

  1. A1 Bar Mediterraneo 3:04
  2. A2 Tienaté 4:40
  3. A3 Gelbi 4:01
  4. A4 Marechià 4:25
  5. A5 Straniero 2:58
  6. B1 Praja Magia 3:20
  7. B2 Vesuvio 4:49
  8. B3 Rire 4:23
  9. B4 La Crisi 3:36

動画

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