Specials - Specials (1979)
The Specials『Specials』(1979) レビュー
1979年にUKで登場したThe Specialsのデビュー作『Specials』は、2 Tone Recordsを代表する一枚としてよく語られるアルバムである。バンド名をそのまま冠したタイトルもわかりやすく、ここで提示されるのは、コヴェントリーを拠点にした当時の空気そのものだ。スカを軸にしながら、パンク以後の切迫感と街の現実感を持ち込んだ作品で、2 Toneムーブメントの出発点として位置づけられている。
このアルバムは、のちにThe Specialsがシーンの中心的存在として見られるようになる前段階ではなく、むしろその役割を決定づけた作品といえる。Jerry Dammersの主導のもと、タイトなリズムとホーン、短く切り込むギター、そしてTerry Hallの乾いた歌い回しが、当時の英国の都市生活と結びついている。単なる懐古的なスカではなく、1979年の英国で鳴っていた音として成立している点が大きい。
2 Toneの初期像を固めたデビュー作
2 Tone Recordsは、レーベル名そのものが後年まで残るほど強い印象を持つが、その中心にあったのがThe Specialsだった。先行シングル「Gangsters」で注目を集め、その勢いのまま本作へつながっていく流れである。アルバムは、当時の英国の若者文化、都市の閉塞感、社会的な摩擦を、踊れるビートの上に置いている。ここで聴けるのは、明るいだけのスカでも、攻撃性だけのパンクでもない、中間にある緊張の音だ。
プロダクションは過度に整え込まれておらず、演奏の輪郭が前に出る。ライブ感を残した作りで、各曲の立ち上がりが速い。聴き進めると、リズムの押し引きやホーンの入り方に、当時のバンドの勢いがそのまま記録されている感じがある。後年の洗練された2 Tone作品と比べると、より切迫した手触りがはっきりしている。
「Gangsters」周辺の流れとアルバムの入口
この作品を語るとき、「Gangsters」の存在は外しにくい。2 Tone初期を象徴する曲として知られ、レーベルの動きそのものに火をつけた一曲である。アルバム本編でも、こうした先行シングルが持っていた推進力が土台になっている。曲の進み方は無駄が少なく、ベースとドラムの間にホーンが短く差し込まれる構成が印象に残る。
この曲が持つ役割は、単なるヒット曲以上のものだ。The Specialsの音楽が、懐かしいスカの再現ではなく、当時の英国の現実に接続された表現であることを示している。アルバム全体を見ても、ここで提示された感覚が各曲に広がっていく。2 Toneの入門盤というより、2 Toneがどういう場所から始まったかを示す記録として読むと筋が通る。
「A Message to You Rudy」と「Too Much Too Young」
収録曲の中でも広く知られているのが「A Message to You Rudy」である。元曲のあるカヴァーだが、The Specials版では、リズムの刻みとホーンの配置がはっきりしていて、曲の輪郭が強く出る。歌の軽さに寄りすぎず、演奏が前へ進むことで、原曲とは別の緊張感を持っている。アルバムの中では、バンドが自分たちのルーツをどう扱うかを示す曲として機能している。
一方で「Too Much Too Young」は、シングルとしても大きな存在感を持った代表曲である。速いテンポで押し切る構成がわかりやすく、The Specialsの直線的な強さがそのまま出ている。曲の進行が短く、言葉数も多すぎないぶん、演奏の勢いが前に出る。のちに全英1位を記録したことも含め、この曲がバンドの名前を広げた意味は大きい。
『Specials』の聴きどころ
このアルバムの面白さは、どの曲も似た温度で並んでいるように見えて、細部の作り分けがあるところだ。ホーンが前に出る曲、ギターの刻みが支える曲、ボーカルの間合いが効く曲が交互に置かれ、1枚を通して聴くと単調になりにくい。派手な演出に頼らず、曲の骨格で引っ張る作りである。
また、本作はThe Specialsにとって、後の評価を決める基礎盤でもある。のちの『More Specials』や、Terry Hall脱退後の動きまで見渡すと、このデビュー作で確立された緊張感と都市感覚が、バンドの核だったことがわかる。The BeatやThe Selecter、Madnessと並んで語られることが多い2 Toneの中でも、The Specialsが中心に置かれる理由は、この一枚を聴くと見えやすい。
UK盤としての『Specials』
今回のUK盤は1979年リリースのオリジナル期の仕様で、フロントラミネートのスリーヴに2 Tone Recordsのロゴが入る。レーベル表示も含めて、当時の初期2 Toneらしい資料性の高い一枚である。後年の再発では見た目やクレジット表記が異なるものもあるが、このUKオリジナル期の盤は、作品が最初に持っていた時代感をそのまま伝える存在だ。
The Specialsの『Specials』は、2 Toneという言葉が一つのスタイルとして定着する前に、その輪郭を実際の音で示したアルバムである。スカ、レゲエ、ロックの要素が混ざるというより、1979年の英国で必要とされた鳴り方としてまとまっている。代表曲の強さだけでなく、アルバム全体の流れで聴くと、バンドが最初から明確な方向を持っていたことが伝わってくる。
トラックリスト
- A1 A Message To You Rudy
- A2 Do The Dog
- A3 It's Up To You
- A4 Nite Klub
- A5 Doesn't Make It Alright
- A6 Concrete Jungle
- A7 Too Hot
- B1 Monkey Man
- B2 (Dawning Of A) New Era
- B3 Blank Expression
- B4 Stupid Marriage
- B5 Too Much Too Young
- B6 Little Bitch
- B7 You're Wondering Now
動画
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The Specials - Too Much Too Young (2015 Remaster)
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The Specials - A Message To You Rudy (Official Music Video)
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The Specials - Nite Klub (2015 Remaster)
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The Specials - Too Hot (2015 Remaster)
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The Specials - Monkey Man
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The Specials - You're Wondering Now
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The Specials - You're Wondering Now
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The Specials - Stupid Marriage
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The Specials - Do The Dog (2015 Remaster)
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The Specials - Gangsters