Vinyl Record Reviews
3は、1988年に結成されたプログレッシブ・ポップロック系のプロジェクトだ。中心にいたのは、Emerson, Lake & Palmer(ELP)のKeith EmersonとCarl Palmerで、そこにHush出身の米国人マルチ奏者Robert Berryが加わった。資料によっては「Emerson, Berry & Palmer」と表記されることもある。
3は、ELPの流れをくむ編成として始まった。ヴォーカルのGreg Lakeの代わりにRobert Berryを迎えた形で、Keith EmersonとCarl Palmerが新しいプロジェクトを立ち上げている。プログレッシブ・ロックの文脈を引き継ぎながら、当時のアメリカ市場も意識した動きだったようだ。
ジャンルはRockで、スタイルとしてはPop Rock、Prog Rock、Arena Rockが挙げられている。ELP由来の複雑な構成感を残しつつ、より歌もの寄りの作りになっている点が特徴だ。Robert Berryの参加で、キーボード主体のプログレにロック・バンドとしての分かりやすさが加わっている。
1988年にGeffen Recordsから出た唯一のスタジオアルバム『…To the Power of Three』では、Carl PalmerとRobert Berryがプロデュースを担当した。収録曲にはThe Byrdsの「Eight Miles High」を歌詞を改変してカバーした曲も入っている。こうした選曲からも、単なる懐古ではなく、60年代ロックの要素を取り込みながら自分たちの形に組み直そうとしていたことが見える。
アルバムからのシングル「Talkin' Bout」は、メインストリーム・ロックチャートで最高9位を記録している。商業的には一定の反応があったようだ。その後、短いツアーを行い、Atlantic Records創立40周年記念コンサートにも出演している。
ただ、活動は長く続かなかった。3は1989年までに解散している。スタジオアルバムは1枚だけで、短命なプロジェクトとして終わった。
後年には、当時のライブ音源をまとめた作品も出ている。2015年の『Live Boston '88』、2017年の『Rockin' the Ritz: NYC 1988』がそれだ。スタジオ作は少ないが、当時の演奏をたどれる資料は残っている。
また、Robert BerryはのちにKeith Emersonとのデュオ編成でこのプロジェクトを「3.2」として再始動させている。3本体は短命だったが、その後の展開にもつながっている。
3は、ELPの面々がRobert Berryを迎えて1988年に作った短命なプロジェクトだ。プログレの要素を残しつつ、ポップロックやアリーナロックの感覚を前に出した1枚のアルバムを残し、その後はライブ音源や「3.2」へとつながっていく。