Vinyl Record Reviews
Abecedariansは、ロサンゼルスを拠点に80年代半ばから後半にかけて活動したトリオだ。メンバーはChris Manecke(guitar, vocals, keyboards)、Kevin Dolan(drums)、John Blake(bass)の3人で、インディー・ロック、オルタナティヴ・ロック、ポストパンクの要素を軸にした音楽を展開していた。
活動の中でもまず注目されるのが、1985年のシングル「Smiling Monarchs」だ。この曲は、マンチェスターのFactory Recordsからリリースされたもので、Abecedariansはアメリカのバンドとしては同レーベルからシングルを出した唯一の存在として知られている。ミックスはNew Orderのギタリスト/ヴォーカルであるバーナード・サムナーが担当している。
翌1986年には、Southwest Audio Reproductionsからミニ・アルバム『Eureka』を発表した。これは1987年にCaroline Recordsから再発されている。さらに2012年には、『Eureka』期の楽曲をデモ音源込みでまとめたリイシュー盤がCDと2枚組アナログで出ている。
Abecedariansの音は、リバーブのかかったシンセサイザーと、余計な音を削ったギター・プレイが中心だ。プロフィールでも、reverb heavyでsynth drivenなpost-punk songsを得意としていたとされている。
「Smiling Monarchs」は、New Orderを思わせるオルタナティヴ・ダンス寄りの曲として扱われることが多い。実際にバーナード・サムナーがミックスを手がけている点も、この曲の位置づけを示している。『Eureka』では、その路線を保ちながら、80年代のLAシーンでは少し異なる響きの作品を残している。
Abecedariansは、80年代のロサンゼルスで活動していたバンドの中でも、シンセを前面に出したポストパンク寄りのサウンドで知られている。ギター、ベース、ドラムの編成にキーボードを重ねた作りは、当時のLAのロック文脈では比較しやすいグループが限られていた。
そのため、後年になって『Eureka』周辺の音源が再発された際には、ポストパンクや80年代オルタナティヴを追うリスナーから見直される流れがあった。
参考サイトとしては、公式系のアーカイブやFacebook、Factory Records関連ページ、MySpaceのページがある。Abecedariansの活動を追うなら、「Smiling Monarchs」と『Eureka』を押さえるのが基本になる。