Vinyl Record Reviews
Adam And The Antsは、1977年4月にスチュアート・ゴダード、通称アダム・アントを中心に結成されたイギリスのバンドだ。パンクの時代に始まり、その後はポストパンクやニュー・ウェイヴの流れの中で活動した。初期はThe Ants名義でも知られ、1977年から1982年までの間に編成を変えながら活動している。
最初期のAdam and the Antsは、パンク寄りのサウンドと、舞台上での強い演出で注目を集めた。キャンプ色の強い見せ方や、露骨に性的なニュアンスを含むパフォーマンスも特徴として挙げられている。1979年にはデビュー作『Dirk Wears White Sox』を発表している。
その後、当時マネージャー的な立場にあったマルコム・マクラーレンの動きもあって、マシュー・アシュマン、デイヴ・バルバロッサ、リー・ゴーマンがバウ・ワウ・ワウへ移ることになり、アダム・アントは大きな編成変更を迫られた。ここでケヴィン・ムーニー、テリー・リー・ミアル、マルコ・ピロー二を迎えた新編成に切り替わる。
この第二期のAdam And The Antsは、1980年2月から1982年3月まで活動した。ここでのサウンドは、ブルンジ式のドラミングを取り入れた点がよく知られている。アフリカ録音に触発されたリズムの使い方が、バンドの印象をかなりはっきりしたものにしている。
第二期の成果としてまず挙げられるのが、1980年の『Kings of the Wild Frontier』だ。ここから「Dog Eat Dog」が全英4位、「Antmusic」が全英2位のヒットになり、アルバムは1981年1月に全英1位を獲得した。1981年のイギリスで最も売れたアルバムでもある。
この時期はシングルの成績も目立っていて、表題曲を含む3曲がトップ10入りしている。1982年のブリット・アワードでは最優秀ブリティッシュ・アルバム賞も受賞している。
Adam And The Antsの名前でまず挙がるのは、ブルンジ風のドラムだ。一定のリズムを強く押し出す作りで、パンクやニュー・ウェイヴの中でもかなり耳に残る要素になっている。加えて、ギターとリズム隊の組み方も明快で、曲の推進力を前に出す作風が多い。
初期はパンクの文脈が強く、後期はポップ・ロック寄りの分かりやすさが前に出る。とはいえ、どちらの時期もアダム・アントの存在感が中心にあり、編成が変わってもバンドの輪郭は保たれている。
プロフィールにあるメンバー名を見ても、バンドの変遷の多さがわかる。特に第二期で重要なのは、マルコ・ピロー二、クリス・ヒューズ、ケヴィン・ムーニー、グレイ・ティビッツ、テリー・リー・ミアルあたりだ。初期からの流れでは、マシュー・アシュマン、デイヴ・バルバロッサ、リー・ゴーマン、アンディ・ウォーレン、ジョニー・ビヴォークらの名前も挙がる。
マルコ・ピロー二は、その後もアダム・アントのソロ活動で長く協力している。2010年の再始動直後まで関係が続いたとされている。
Adam And The Antsは、パンクからニュー・ウェイヴへの移り変わりをそのまま追うのではなく、リズムの強さと見せ方で独自の形を作ったバンドだ。初期のカルト的人気と、第二期の商業的成功の両方がはっきり残っている。
活動期間は長くないが、編成変更を経てサウンドの方向を切り替えた流れが明確で、80年代初頭のUKロックを語るうえで外せない存在だ。公式サイトや資料をたどると、アダム・アントを軸にした変化の過程が見えてくる。