Vinyl Record Reviews
Airlordは、1970年代半ばのニュージーランド・ウェリントンで結成されたロック・バンドだ。メンバーはRaymond Simenauer、Alan Blackburn、Rick Mercer、Brad Murray、Steve MacKenzieで、ジャンルはロックの中でもProg Rock、Symphonic Rockに位置づけられている。
結成は1975年初頭までさかのぼり、Steve MackenzieがベーシストのBrad Murrayとともに立ち上げたところから始まる。当初は「Outlord」を名乗っていたが、同名の米国バンドがいたため、Airlordへ改名した。
Airlordはウェリントンで結成されたあと、地元のパブで演奏を重ねた。その後、1977年2月にオーストラリアのシドニーへ拠点を移している。移住後は短期間でレコード契約を獲得し、同年にFestival Recordsから唯一のアルバム『Clockwork Revenge』を発表した。
ただし、ニュージーランドではオリジナル曲中心の活動が広く受け入れられず、大きな観客層をつかむには至らなかったようだ。オーストラリアへ移ったことで活動期間は延びたものの、現地で大きな集客力を持つバンドにはなりきれず、最終的には1978年ごろに解散している。
『Clockwork Revenge』はAirlordの唯一作で、7曲の長尺曲で構成されている。曲はSimenauerが3曲、Mackenzieが4曲を書き、それぞれが自作曲でリードボーカルを担当する形になっていた。
このアルバムは長く注目されにくく、長年にわたって日本やヨーロッパで海賊盤が出回る状態が続いた。正式なデジタル版がリリースされたのは2020年になってからだ。
MackenzieはGenesisの『Selling England By The Pound』に強く影響を受けていたとされ、彼のボーカルは批評家からPeter Gabrielになぞらえられることが多かった。Airlordの音楽も、その影響を踏まえたプログレッシブ・ロック寄りの作りで、キーボードを含む編成と長尺曲が中心になっている。
また、アルバムではメンバーごとに作曲と歌唱の役割が分かれていて、バンド内での分担がはっきりしている。ギター、キーボード、ドラム、ベースがそろった編成で、シンフォニック・ロックらしい展開を組み立てていたことがうかがえる。
Airlordは活動期間こそ短かったものの、『Clockwork Revenge』は埋もれたまま終わった作品として扱われることが多い。地元での評価や流通事情には恵まれなかった一方で、アルバム単位ではプログレッシブ・ロックの文脈で参照されている。
現在はAudiocultureやProg Archivesでも情報を確認でき、1970年代ニュージーランド/オーストラリア圏のプログレ・バンドとして紹介されている。活動の記録が少ないぶん、唯一作『Clockwork Revenge』がAirlordの中心的な資料になっている。