Vinyl Record Reviews
Al Stewartは、1945年9月5日にスコットランドのグリーノックで生まれたシンガーソングライターだ。ジャンルはロックに分類されることが多く、ソフトロック、ポップロック、アートロックの要素を含む作品で知られている。とくに「Year of the Cat」で広く知られている。
Al Stewartは、1960年代から1970年代にかけてのブリティッシュ・フォーク・リヴァイヴァルの中で注目を集めた。フォークを土台にしながら、ロック寄りのアレンジや語り口を取り入れてきた人物として整理されることが多い。ヒット曲が出るまでには、およそ10年にわたる活動期間があった。
この時期の作品では、単純な恋愛歌だけでなく、歴史上の人物や出来事を曲に織り込む手法が目立つ。歌詞で具体的な事実や固有名詞を扱う傾向があり、物語性のあるフォークロックとして受け取られてきた。
1969年のアルバム『Love Chronicles』には、18分に及ぶタイトル曲が収録されている。この曲は自身の恋愛遍歴を綴った自伝的な内容で、ギターにはJimmy Pageが参加している。PageはLed Zeppelin結成前夜の時期に関わっており、この録音は初期ロック史の文脈でもよく触れられる。
また、この曲の終盤で「fucking」という単語が使われていることでも知られる。評論家Robert Christgauは、ロック・レコードにおけるこの語の使用例としてかなり早いものだと指摘している。アメリカでのアルバム発売は、Columbia Recordsの反対で見送られたとされる。
Al Stewartの代表曲として最もよく挙げられるのが、1976年発表のシングル「Year of the Cat」だ。翌1977年にはBillboard Hot 100で8位を記録し、大きなヒットになった。
この曲はロンドンのアビイ・ロード・スタジオで録音され、エンジニアはAlan Parsonsが担当した。のちのAlan Parsons Projectで知られる人物だ。曲は、共作者でキーボード奏者のPeter Woodが弾いたピアノのリフを土台に組み立てられている。制作時点では、そこまで大きな目玉になる想定ではなかったようだが、結果的にAl Stewartを代表する1曲になった。
Al Stewartの曲を聴くときは、メロディだけでなく歌詞の情報量にも目を向けると面白い。歴史的な題材を扱う曲では、時代や人物の断片がそのまま流れ込んでくる。フォークの語り口とロックの演奏感が同じ曲の中に並ぶ場面も多い。
「Year of the Cat」で広く知られる一方で、初期の長尺曲や自伝的な作品も含めて追うと、作家性の変化が見えやすい。派手な自己主張よりも、言葉の配置や題材の選び方で曲を組み立てるタイプのアーティストとして整理できる。